娘が言うんです。「学校に天才がいる。全然勉強してないのにテストの点数がいい子がいる。」と。
僕も学生時代に同じ経験があります。全然勉強していないっていう子が、ものすごくいい点数をとる。本当に勉強していないのにテストでいい点数をとれるのか?にわかに信じがたい話です。本当は陰で勉強しているんでしょ?と。
ですが、「同じ勉強をしていて、なぜ差がつくのか?」を読んで、本当にそういう子が要るのだなと理解ができました。我が子が同じように勉強できる子になるかはまた別として、視点が面白く、大変興味深い本でありました。
今回はこの本を書評してみたいと思います。
- 子どもに本当の頭の賢さを身につけてほしい人
- 子どもに考える力を身につけてほしいと思う人
- 我が子と賢い子、どこに差があるのか知りたい人
本書と著者のプロフィール
石田 勝紀氏
一般社団法人 教育デザインラボ 代表理事
1968年横浜生まれ。20歳で会社を設立し、学習塾を起業。これまで3500人以上の生徒を直接指導。講演会、セミナーなど間接的指導を含めると5万人以上に上る。現在は、「日本から勉強が嫌いな子を一人残らずなくしたい!」という志のもと、ママカフェ、執筆・講演活動を精力的に行っている。国際経営学修士(MBA)、教育学修士。
本書の要点ポイント(書評)
同じ勉強をしているのに、差がつく理由はなんなのでしょうか?学びには3つのタイプがあるという著者。
- 【タイプ1】学んでいるように見えるが、学ぼうと思っていない人
- 【タイプ2】授業中・仕事中だけでしか学ばない人
- 【タイプ3】寝ているとき以外、日常すべてが学びになっている人
世の中には、寝ているとき以外、全て学んでいる人がいる?!そんな人に【タイプ1】や【タイプ2】の人が敵うわけがないのです。
ではどうすれば【タイプ3】のような子になれるのでしょうか?その方法として誰でも簡単にできる子どもへの言葉がけを本書では紹介されています。この魔法の言葉で、子どもの脳のスペックを引き上げることができるというのです。その言葉とは
- なぜだろう?
- どう思う?
- どうしたらいい?
- 要するに?
- たとえば、どういうこと?
- 楽しむには?
- 何のため?
- そもそも、どういうこと?
- もし~どうする(どうなる)?
- 本当だろうか?
です。
できる子は、寝ている時以外全て学んでいるの衝撃!
冒頭でも書きましたが、娘は勉強のできる子を「天才」という表現を使って表すことがあります。同じように勉強をしているはずなのに、自分もちゃんと勉強しているのに、なぜか差が開いてしまう。きっとこの子は生まれもって才能を得ている天才。子どもがそう思うのも無理はありません。
しかし著者は、出来る子は「天才」なのではなく、机上の勉強以外にも常に学んでいるんだというのです。例えば学校から駅まで歩いている間でも、多くの気づきを得て、考えて学んでいると。これは衝撃の事実です!
学校で5時間。塾で2時間勉強している子がいるとします。この子は7時間勉強していることになりますが、寝ている時以外勉強している子は、寝ている時間を8時間とすると、24-8=16時間勉強している事になります。そりぁ~普通の子が敵わないはずです。
しかしです。ふと考えてみると、僕にもこの「机上の勉強以外に学んでいる感覚」があるのです。
僕が親になって子どもの勉強を見るようになってから初めてこの感覚になったのですが、例えば歩きながら道にアリを発見したとしたら、
- 「どこに家があるだろう?」
- 「雨の日に巣に雨が入ってきたらどうしてるんだろうか?」
- 「アリから見たら人間ってどう見えるんだろう?」
って考えることがあるんです。でも、この感覚を身につけたのは大人になってから。出来る子は、こういった事を子どもの頃からずっと考えているんだろうなって思うのです。
子どもの頃に出来なかった問題が解けるのは頭脳OSがあがったから
出来る子は、もともと頭脳のOSのバージョンが高い。これは確かでしょう。頭脳をパソコンのOS(windows)に例えて著者は、頭脳のバージョンが低いのに、国語算数理科社会といったソフトを無理やり詰め込んでもフリーズ(固まる)するだけだといいます。
親は子どもの頭脳OSが低いのに、それに見合っていない勉強や塾を強要しているが、子どもは固まっているよ!という話はわかりやすかったし、親としては気を付けたい。
これは「学校の当たり前をやめた。」の著者であり、公立高校の常識を変えて学校の定期テストを廃止された工藤勇一氏の考え方に近いなと思います。頭脳OSのバージョンは個人によって違うのに、学校は学年で生徒を区切り、全員に同じソフトをインストールしようとする。バージョンの高い子はいいけれど、そうでない子はパソコンは動かないし、なかなか動かないパソコンを触っても面白くもなんともない。で、子どもは勉強をしなくなる。これが今の学校教育なんだと思いました。
では、この頭脳OSは誰もがバージョンアップできるのでしょうか?
頭脳OSとは、「考える力」のこと
子ども時代はまるでできなかった問題が大人になったらできるようになっていたという経験は誰もがあるはずです。
これが頭脳OSがバージョンアップしているということです。頭脳OSは確かにバージョンアップできる!では、頭脳OSとはそもそも何なんでしょうか?それは「考える力」の事。
子どもに
「よく考えたらわかるよ!」とか「よく考えてみなさい!」とか
叱った経験はありませんか?と著者はいいます。
あるある!この「考える力」こそが頭脳OSの正体だったんだな、大人になって僕は自然と「考える力」がバージョンアップされていたのだなと腑に落ちました。
大人になれば、ある程度は考えられる人になるんだと思いますが、子どもの頃に考えられる人だったらな!と本当に思うんです。こういう人ってたくさんいると思います。
なので子どもを「考えられる」人にしたいと考えるのは必然です。で、子どもの「考える力」を鍛える方法が書かれているのが、本書なのですね。
頭脳OSをバージョンアップさせる魔法の言葉がある
本書を読んでも、「考えられる」子を育てるには、家庭でのコミュニケーションが大事だと気付きます。そのコミュニケーションの言葉かけが
- なぜだろう?
- どう思う?
- どうしたらいい?
- 要するに?
- たとえば、どういうこと?
- 楽しむには?
- 何のため?
- そもそも、どういうこと?
- もし~どうする(どうなる)?
- 本当だろうか?
です。
学校でもこうした言葉かけをしてくれないわけではないですが、普段から子どもにこうした言葉がけをできるのは、やはり親しかいないと思います。
この言葉かけを全部覚えて、全部子どもにいうのは難しいし、また子どもも勉強に関する言葉かけだなと敏感に反応する(笑)ので、僕はこの中から絞って意識的に声かけするようにしています。
この中で僕がお勧めする言葉かけは、以下の3つです。
1.なぜだろう?(WHY?)
疑問をもつことは何より大事です。
最近では、「なぜ、セミって鳴いているのだと思う?」と子どもに聞いてみました。セミが鳴くのは当たり前ではなく、ちゃんと理由があるんです。そうやって深堀して考えるってことは、頭脳を鍛えることになりますね。
当たり前だと思っていることを疑うことは大事で、今の時代ならもっとよい方法があると考える人が常にビジネスも成功させています。
「why?ジャパニーズピープル!」厚切りジェイソン氏がいう通り、日本の常識は世界の非常識かもしれませんしね。
2.どう思う?(HOW?)
どう思う?は意見を聞くワードですね。日本人は特に自分の意見を言えない人が多いといわれます。
海外では、会議で意見を言わないなら、「なぜ会議に参加しているの?意味ないじゃん!」ってなるそうですね。
自分の意見を言えるって事は自分の意見を考えるってことですから、頭脳を鍛えることももちろんできますね。
3.もし~どうする?
これが一番好きな問いかけでした。
- 「もし〇〇(娘)だったらどうする?」
- 「もし〇〇(娘)だったらどうしてた?」
って聞くのです。
特に僕が気に入っている問いかけは、「もし〇〇(娘)だったらどうしてた?」と過去の事を聞くのです。
例えば江戸時代で、参勤交代という制度がありました。参勤交代は、江戸幕府が、他の藩に謀反を起こさせないように財力を奪う目的で導入したすごく考えれた仕組みですが、それを知ったうえで、娘が江戸幕府ならどうする?って聞くのです。
かなり頭脳OSが鍛えられると思いませんか?
まとめ。勉強は量ではなくて質。考えさせることで子どもの頭脳を鍛えよう
勉強は量ではなくて質です。著者は学生時代、ものすごい勉強量をこなしたのに、出来る子には敵わなかったと明かされていますが、勉強は量ではなく質、考える力だったと気が付いたことが大きい。
元東大王で、司法試験にも合格された鈴木光氏もまた、著書「夢を叶えるための勉強法」で勉強は質だと書かれています。
勉強は質という考え方は、社会でも大いに役立つ考え方です。質の良い勉強とは「考える」事でした。そのためには、頭脳OSにあった勉強をすることも大事です。親は子どもに無理やり勉強を詰め込むのではなく、子どもの頭脳OSのバージョンを考える必要がありますね。
その上で、やはり家庭のコミュニケーション、親の言葉がけで、子どもの考える力を養うことが何よりも大事なんだと本書を読んで学びました。