- 心に傷を負った子
- 思春期で悩みがある子
子どもに手を差し伸べようとも、思春期の子どもの心は難しいもので、親ができることは少ない。
思春期は、「子育て」はすでに終わっている。子育て本を読んで親が勉強しても、結局は、子どもが自ら、自らの問題を解決しなければいけない。
自らの心の問題を救うためのメソッド、そんなものがあれば子どもに紹介してやる。親ができることってそのくらいのことかと思う。
そんな事を考えていた時に手にした本が、わたしが「わたし」を助けに行こう。心理学の先生が書かれた本ですが、とても良かった。
- 思春期で人に言えない悩みがある
- 心に傷を負い、自分の殻をなかなか破れない。
- 前向きになれない
そんな思春期の子の誰もが悩むことを自らが解決できるメソッドが書かれている。まさに中高生にもわかりやすく説明されていて、あっという間に読める本なので、中高生はもちろん、中高生の親御さんにもおすすめの一冊です。
わたしが「わたし」を助けに行こう 書評
↓本書を、【保存版】思春期の子どもを持つ僕が「何度も読み返している」本に選出させていただきました。↓

心に傷を持っている子が、簡単に自分の殻を破ることはできないです。他人が想像しているよりもずっと難しいこと、理解しているつもりでも、その想像をはるかに超えて難しいということに気が付くべきです。
中高生って、勉強やクラブを前向きに頑張っていて、友達もたくさんいて、充実した学生生活を送っている
そんな子ばかりじゃない。
心に傷を追ったり、コンプレックスを抱えていたり、思春期の子であればむしろそんな子のほうが多いのかもしれない。
その心の傷を他者がなんとかしようと思っても、それが親であっても難しい。自分自身の殻は自分自身で破らないといけないし、それしか方法がないんです。
しかし「解決方法がわからない」だけでは、ただ時は過ぎていくだけです。
そんなことはわかっているけれど、なかなか殻は破れないし、その解決方法もわからない。親も子も。
僕も親として悩んでいました。そんな時に、読んだのがこの本です。
あなたが、「あなた自身」を助けることができるんだ。と著者は力強くおっしゃる。その方法を知って欲しいんだと。僕はこのセリフにぐっときました。
- 人生がうまくいかない
- 人間関係がうまくいかない
- 叶えたい夢があるのにうまくいかない
人はなにかしらコンプレックスや問題を抱えているものです。しかし、なぜうまくいかないのか?考えてもなかなか答えは見つかりませんでした。著者は、この問題の正体を、もうひとりの「あなた」だとおっしゃる。
もうひとりの「あなた」があなたがこれ以上傷つかないようにあなたを過剰に守っている。これがあなたが殻を破れない原因なんだというのです。
すごく腑に落ちたんです。
これ以上傷つきたくない心が、自分が殻をやぶろうとする勇気を阻害しているのだという考え方にものすごく共感しました。
著者は、もうひとりの「あなた」の事を、あなたを守る「ナイトくん」と命名します。
この「ナイトくん」を悪者呼ばわりするのではなくて、「あなた」を一生懸命守ってくれている大切な存在なんだというアプローチも素晴らしい。
「ナイトくん」の目的はただひとつ。それはあなたがこれ以上傷つかないようにすること。ただ、それが時に過剰にあなたを守ろうとしてしまうことで、様々な弊害が起こる。
著者は例として
- 人と接することを避ける → あなたが、人と接して傷つくことがこれ以上ないように、ナイトくんが、人と接することを拒絶させる
- 友人や恋人ができない → 過去に人間関係で嫌な思いをしたことがある場合、友達と会う事で嫌われてしまうかもしれない。気を遣い過ぎて疲れてしまうかもしれない。あなたがこれ以上傷つかないように、友達に会う事を拒絶させる。
- 夢があるというけれど行動が伴わない →行動すると成功か失敗かの結果が出てしまう。その結果を見てあなたが怖がる可能性があるので、「いつかやればできる」という状態にしておく
などナイトくんは、あなたがこれ以上傷つかないようにあなたを守る。その例をわかりやすく示してくれたのものですが、とてもわかりやすいし、今までどうしてもわからなかった僕自身の心の問題もこれなんじゃないかと腑に落ちました。
じゃぁ、自分が自分の殻を破れない原因はわかった。どうしたらこの殻を破ることができるんだというところがすごく気になりました。
そのメソッドについても本書でちゃんと教えてくれます。
その方法とは、ナイトくんと会話をすることなんだと著者はいいます。つまり、自分の心の部分と会話をするのだといいます。
本書では、ナイトくんとの会話のステップとして
- 今まで自分を守ってくれてありがとうと感謝をいうこと
- ナイトくんのミッションは何なのかをたずねること
- ナイトくんの多くは幼いころに作られたもので幼いままなので、自分の年齢を話し、「もう私は〇〇歳になったから、前ほど心配しないでいいよ。大丈夫だから、前ほど頑張らなくてもいいよ。ということを伝えること。
など具体的に会話の方法を示してくれます。
わたしと「わたし」の心の部分と会話することで、頑なだった自分自身の問題が和らいでいく。これがわたしが「わたし」を助けに行くという事だと理解しました。
僕はこのアプローチ、ものすごくいいなと思いました。
このアプローチは何の根拠もないものだと思われるかもしれません。ですが、このアプローチは、
アメリカの哲学者・心理学者のジェンドリンのフォーカシングをベースに、公認心理師である著者の臨床経験を通して培った心理療法メソッドを付け加え、アレンジした心理療法ワークの導入基礎の部分です。
と心理学の裏付けがあるメソッドだというのですから試す価値があると僕は思います。もちろん、どんなメソッドでも合う合わないは個人差があると思うのですが、今心に問題を抱えていて前に進めない状態であるなら、これっ、ぜひ試してみて。そういえる。
思春期の悩みや、心の傷に対してこれほど具体的にアプローチ方法、解決方法を示してくれた本に今まで僕は出会った事がなかったように思います。