子育てって褒めると叱るの繰り返し。でも褒めるのも難しいし、叱るのも難しい。そう思いませんか?僕の場合、圧倒的に叱り方が難しいなって感じていて
- 「早くしなさい!」
- 「スマホばかり見ないで!」
なんて怒鳴って、後から言ってはいけない言葉だったかな~と反省するばかり。(苦笑)どうしたら子どもの心に響く叱り方ができるのか?って悩んでばっかりいます。
そんな時に手にした本が「自分でできる子に育つ ほめ方叱り方」です。今回は、この本を書評してみたいと思います。
本書と著者のプロフィール
島村 華子氏
上智大学卒業後、カナダのバングーバーに渡りモンテッソーリ国際協会の教員資格免許を取得。カナダのモンテッソーリ幼稚園で教員生活を経て、オックスフォード大学にて児童発達学の修士・博士課程修了。現在はカナダの大学にて幼児教育の教員養成に関わる。(著書発売当時)
モンテッソーリ教育とは?
ここでモンテッソーリ教育とは何か?について少し触れておきたいと思います。モンテッソーリ教育とは、医師であり教育者であったモンテッソーリ氏が考案されたもので、「子どもには自ら学ぶ力がある。」という自己教育力に基づいた教育です。
↓詳しくは、ベネッセさんの下記記事が参考になります。
アメリカでは何度もブームになったんだそうですが、日本でもよく聞くようになりましたし、認知度もかなり高まっているように思います。
将棋界の藤井聡太さん、アメリカでいえば、FaceBookのジェフ・ベゾス氏もこのモンテッソーリ教育を受けて育ったことは有名ですね。
本書の要点ポイント(書評)
冒頭でも書きましたが、子どもの褒め方や𠮟り方は本当に難しい。本書は、モンテッソーリ教育、レッジョ・エミリア教育を知り尽くしたオックスフォード児童発達学博士の著者による「子どもの褒め方、叱り方」の指南書です。
褒める、叱るの声のかけ方次第で、子どもの育ち方、自己肯定感に大きな影響を与えるという著者。
- 大人のエゴではない、子どもの為の褒め方、叱り方とはどういうものなのか?
- 大人の期待や評価を押し付けない子育てとはどういうものなのか?
本書では、実際によい褒め方、叱り方、悪い褒め方、叱り方の具体例を盛りだくさん紹介!子どもに対する褒め方や叱り方を悩んでいる親御さんは必見の一冊です
無条件に子どもを愛すること!これが自己肯定感を高める
褒美を与える事と罰することはいわばアメとムチ。親はこれを使う事で、子どもを思うようにコントロールできてしまいます。著者によれば、これを条件付きの接し方というのだそうです。
一方で、子どもの行動の善し悪しに関わらず、子どもを愛し、気持ちに寄り添うこと。これを無条件の接し方といいます。
無条件に愛する。これはアドラー心理学の考え方で「嫌われる勇気」でも読みましたが、子どもの自己肯定感を高める最も大事な考え方だと思います。
自己肯定感は自分自身がありのままでよいと肯定できる気持ちの事で、今注目の非認知能力の一つです。
ではこの自己肯定感を高める為の褒め方とはどういうものなのでしょう。具体的に書いていきます。
プロセス褒め!で自己肯定感を高める
具体的に無条件の接し方とはどうすればいいのでしょうか?まずは「ほめ方」です。
褒め方については、「すごい!」とか「頭いいね!」と褒めるのではなくて
- 「頑張って最後までやり切ったね」
- 「失敗しても諦めなかったね」
といったプロセスを褒めるのが最もいいのだと著者はいいます。
本書では、コロンビア大学のミューラー博士の褒め方に関する実験が紹介されています。
「すごいね!」とか「頭いいね!」とか能力を褒められた子どもと比べて、「頑張って最後までやり切ったね」等、努力を褒められた子の方が、より難しいテストにチャンレジしたり、テストの点数もよかったというものです。この褒め方の研究は非常に有名で、当ブログでも紹介させてもらった中室牧子氏の「学力の経済学」でも紹介されています。
↓この記事が参考になります
なので、褒め方については、僕も普段から気を付けていて、子ども達にはプロセス褒めをしてきたつもりです。
ついつい子どもが何か成功させた時は嬉しくなって「すごいやん!」「やるやん!」と簡単に褒めてしまうこともありますが、プロセス、特に努力した時はその努力をしつこいくらい褒めるようにしています。
あと、時々忘れるのですが、「すごい!」って褒める場合でも、具体的にどの点がすごいのかについても、褒めるように努めています。
褒めるだけでもこんなに頭を回転させて褒めないといけないんだな、親って大変!って自分で自分を褒めてやりたいって時々思います笑
そして本書で僕が一番気付きになったのが
本来子どもが求めているのは評価ではなく、何かを達成したとき、新しいことを発見したとき、嬉しいことがあったときに、大好きな両親や先生とそれを共有することなのです。
という一文です。
多くの親御さんはお子さんの話をしっかり聞いて、共感されていると思います。これが本当に大事!
それに引き換え僕といったら、自分が褒めたい時には子どもを頑張って褒めますが、子どもが褒めてもらいたいと話しかけてきたときに、適当に相槌をうっている事に気が付き、反省。
うちは全員女子なので、ママも含めて本当によく喋るんです。よく女性は男性に対して、「答えを求めているのではなくて、共感を求めている」と言いますよね。子どもも一緒なんだな~と、本書を読んで思いました。
ですから、子どもの自己肯定感を高めるためには、共感してやることが一番必要ななことなんだなって、本書で学びました。
一番難しい叱り方は、アクティブリスニングを実践して!
一番難しいのは叱り方です。ついカッとなって、言ってはいけないセリフを子どもに言ってしまい反省。何度、これを繰り返したことか?とは冒頭でも書かせていただいたとおり。
子どもの叱り方については、本当に悩んでいますし、下手をすると子どもの自己肯定感を下げることにもなりかねません。
叱り方を抑える有名なメソッドにアンガーマネジメントというのがあります。その中に6秒ルールというのがあり、簡単にいうと、「怒りも6秒間たてばそのピークは過ぎる」というもので、一旦冷静になりましょうよということです。
ブログを書いている時は、このアンガーマネジメントを思い出すのですが、子育ては秒単位の戦いです。アンガーマネジメントを思い出している余裕もなく、大爆発。そして反省。。。
これではいけない。
島村先生!子どもへの叱り方を教えてください!ということで本書で子に対する叱り方を学ばせていただきました。
罰を与える叱り方がいけない事は頭の中では理解しています。罰を与える叱り方は、子どもとの信頼関係が崩れる𠮟り方です。
では、どうしたら子どもをうまく叱ることができるのでしょうか?著者は叱り方について4つのポイントを挙げられます。
- ダメ!違う!をできるだけ使わない
- 結果ではなく努力やプロセスに目を向ける
- 好ましくない行動の理由を説明する
- 親の気持ちを正直に伝える
中でも僕が心がけているのは、好ましくない理由を説明することです。なぜ、その行動がよくないのか、子どもが納得するように理由を話します。しかし、これも理屈っぽくなってしまうことがあって結構難しいのです。
ですので、この4つをバランスよく使わないといけないのですね。
本書を読んでいると、いかに親子のコミュニケーションが大事で、いかに難しいかがよくわかります。アクティブリスニングとは、子どもに100%の注意を傾けて、無条件に聞き入れることなんだといい、集中力と忍耐を必要とするのだと著者はいいますが、決して簡単な事ではありませんね。
また、男の子の自己肯定感を高める育て方の著者で、元開成中学の校長先生の柳沢 幸雄氏は、子どもが提案してきた事をどうしてもダメと言わないといけない場合は、よかったところを認めてあげて、その上で代替え案を伝えるのがよいと説かれています。こちらも参考になります。
子どもの自己肯定感を高めるには、親の自己肯定感も高めること
色々な教育本を読んで、色々な教育を試す。どれだけ親は頑張らないといけないのか、理想はわかるけど、子育てって思うようにいかない。
そんな気持ちになりかけていた僕ですが、「おわりに。無理をしない子育てを!」の章を読んで救われた気持ちになりました。
理想の親を目指して、それが出来ない事でイライラするのではなくて、親が幸せであることが何より大切だと著者は説きます。
ストレスを感じている親と一緒に時間を過ごすと、子どもの心にネガティブな影響があることがわかっているのだそうです。逆を言えば、親が幸せであれば子はポジティブマインドになるということですね。
つまり子どもの自己肯定感を高める為には、親の自己肯定感を高めておく必要があるということです。
毎回、毎秒、無条件な子育てができる人なんていません。たまに子どもをおおげさに褒めたり、イライラして叱ったところで、子どもがダメになるわけではないので安心してください。
先生に言われるとホッとしますね。
親だって人間ですから、理想通りにはいきません。もっと自分自身を許して認めてあげるって事大事だなと思いました。
それでも、あまりに自分の褒め方や叱り方が「イケてないな」と感じた時には、ぜひ本書を見返して活用させていただきたいなと思っています。