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【書評】「子どもが自ら考え、動き出す。学ぶ環境のつくり方」を読んだ。メンターとの出会いが子を変える!

「勉強しなさい!」「宿題しなさい!」「〇〇しなさい!」と親が言って、子どもが無理にやっていることは、将来、親が離れたら恐らくやらなくなります(泣)

勉強がその最もわかりやすい代表で、子どもが大学に受かった途端、親が離れた途端、勉強をしなくなるという例は枚挙にいとまがないといいます。

では、どうしたら親が離れても子どもは自ら学ぶのでしょうか?

  • 勉強しなさい!と言わないと勉強しない
  • どうしたら自分から勉強をするのかわからないし、悩んでいる
  • 子どもに自ら進んで勉強をしてほしい!

そう悩んでいる親御さんに是非、読んでほしい本があります。「子どもが自ら考え、動き出す。学ぶ環境のつくり方」という本です。京都の名門・立命館小学校2代目校長であった深谷圭助氏の著書です。

目次

本書と著者のプロフィール

著:深谷 圭助
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深谷 圭助氏

1965年生まれ。愛知県教育大学卒業。名古屋大学大学院博士後期課程修了。名古屋大学より博士(教育学)を授与。2008年より立命館小学校校長。現在は中部大学教授、中部大学現代教育学研究所所長、NPO法人こども・ことば研究所所長、元ロンドン大学東洋アフリカ研究学院客員研究員。(著書発行現在)

深谷圭助氏の関連著書

本書の要点ポイント(書評)

これからの時代に求められる能力は、自ら考えて、自ら学ぶ、自ら行動できる「自分プロデュース力」。子どもの自分プロデュース力を育てる為に最も重要なのは家庭教育にあります。

深谷氏は、子どもが自らの手で目標を達成するために、3つの柱

  1. 人とのつながり(メンターとの出会い)
  2. 学びに向かう力(正しい学習方略)
  3. しなやかで強い心(自己肯定感を育む家庭の時間)

をあげ、スキャフォールディング(足場つくり)理論として、本書で提唱されています。

日本の高校生は優秀なのに大学の評価が低い

日本はOECDの学力調査(PISA)ではまだまだ優秀であることは何度もこのブログにおいて紹介しました。その一方で、英国の教育専門誌タイムズ・ハイヤー・エデュケーションが発表する世界大学ランキングで日本の大学は、100位中2校しかランキングされておらず、東大の36位が最高である。

これを言いかえると、日本の高校生は優秀だが、大学生の評価は低い。ともいえます。なぜでしょうか?

深谷氏は、日本は大学に入ることが目的になっていて、入った後は目標を失い、入学後自らは勉強しない。事を指摘されています。

また、欧米の大学生がディスカッション中心のアクティブラーニングを小学校から徹底して鍛えられているのに対して、日本の学生は鍛えられておらず、グローバルの世界で戦えていない点なども挙げられています。

私も大学入試、特に推薦入試については色々思うことがあり記事を書かせていただいているのですが、少子化時代、学生確保のために、推薦入試を活用する大学は、益々拡大すると予想されていますね。

大学に入学することが目的。偏差値の高い所に合格することが目的。この意識は親、子ともにまだまだ根強く残っていて、私自身も子どもをよい大学に通わせる事が、子どものためになるのか、自問自答している毎日ですが、この旧態依然の学校教育の構造では子どもの主体性は育たないという深谷氏。

ここで大事になってくるのは家庭教育で、家庭でのサポートがあれば主体的に学ぶ子に育てられるといいます。

スキャフォールディング理論とは?

そこで深谷氏が提唱するのが、スキャフォールディングという理論です。スキャフォールディング理論って何でしょうか?本書の例をもって、私なりの解釈ですが、わかりやすく説明してみたいと思います。

親のサポートがあって、子どもが自転車が乗れるようになりますね。これは子どもの頃親に教えてもらった経験、それから、親の立場になって子どもに教えた経験、誰もが経験したことがあると思います。

最初は補助輪をつけて練習をはじめ、最終的には補助輪を外し、いずれは子どもが自らの力で自転車が乗れるようになる。

これは親が、子どもが出来る事は甘やかさず見守り、子どもがどうしてもできない事だけをサポートしている。そして最終的には子どもが「自分ひとりで出来た!」という自信につながっています。

子どもが出来ることを、甘やかして親がやってしまうのはNG。子どもが全くできてないのにほったらかしにするのもNG。

つまり最適なタイミング、最適な場所に足場(サポート)を親が用意してやることで、子どもの自分で出来るんだという自己肯定感を育む、これがスキャフォールディング理論です。

メンターとの出会いが、子どもを成長させる

メンターって日本ではなじみがないかもしれません。メンターというのは、「子どもによい影響を与えてくれる存在」を指します。

スポーツの世界、ビジネスの世界、それから海外の大学では導入されているそうで、アメリカの大学ではTA(ティーチング・アシスタント)といって優秀な大学院生が学部生に学習の助言をする仕組みもできているそうです。

↓日本の大学にも徐々にですがメンター制度が導入されはじめています。

深谷氏は、子どもはメンターと出会うことにより

子どもは自己を客観的にとらえ、自己の成長に必要なものを探し始めます。また身近なお手本としてメンターを理想像とし、その理想に近づくために自ら動いていくのです。

といいます。

このメンターが子どもを成長させるというのは、本当にそのとおりだと思います。子どもも中学生になると親の言う事は聞きません。同じことを、芸能人と親が言ったとして、芸能人の言うことは素直に聞くけど、親の言う事は反発する。それが子どもというもんです(泣)

だから親や教師など強い上下関係に当たる人はメンターにはならないんだそうです!少し目上の尊敬できる人がメンターであり、もしメンターと出会うことができれば、本当に一生の財産になると思います。

僕が長女を私立に通わせていていいなと思う一つに、メンターに近い存在に出会ってくれたらいいなっていうのがありました。先生でもいいんですけど、親ではない尊敬できる存在を見つけて、自ら学ぶ子に成長して欲しいという願いがあります。

我が子にマッチする学習方略を見つける

これもよい話が書いてありましたね。なぜ、子どもは自ら勉強しないのか?単純に、勉強が楽しくないからですね。

どうしたら勉強って楽しくなるでしょう?やっぱり「出来る!」「解る!」と勉強も楽しくなってくると思いますね。

親はただ、学習教材や塾を用意するのだけではダメで、子どもが自ら学ぶ環境作りをサポートしてあげることが大事。本書でいうところの、「正しい学習方略」で子どもに学ぶ楽しさを知ってもらう努力はやっぱり必要です。

本書に書かれている学習のPDCAをまわすというのはよいアイデアだと思いました。

  • 目標:なりたい自分を設定し
  • 計画:目標達成のために行う具体的学びの内容を決める
  • 評価:計画通り実行できたかを評価する
  • 改善:悪かった点の改善方法を考える

PDCAをまわすというのは、このブログでも紹介させていただいた河野玄斗氏の「シンプルな勉強法」でも紹介されています。河野氏は、まるでゲームのように勉強をしてたとおっしゃっていますし、勉強できる人って、この学習方略をたてるのがうまい印象があります。

とはいえPDCAをまわすというのは、ビジネスの世界でもよく言われる基本中の基本なのですが、意外と実行しようと思うと難しいんですね。

僕が考えるPDCAの回し方は、やっぱりスモールスタート。目標が大きすぎると途中で挫折することが多いので、スモールでまわすってことです。

家族との濃厚なコミュニケーションの時間が大事

本書を読んで、このスキャフォールディング理論を実践するのに、もっとも大事な柱は、子どもとのコミュニケーションを大事にする事だろうなと思いました。

子どもと密なコミュニケーションがとれていないと、そもそも親が子をサポートしてやろうにも、子どもが反発するだろうし、できませんよね。

子どもは親の背中を常にみていて、親に認められたい。親の愛情を受けたい。と心の中で思っているはずで、子どもを無条件で愛してやることで、疑いのない絶対的な安心感を与えてあげることができます。その結果、子に自己肯定感が育まれると深谷氏はいいます。

本書を読んで僕はこの子どもとの密なコミュニケーションが、スキャフォールディング理論の中で、一番大事だなと思った次第です。

まとめ 子どもに自転車を教えた時の感覚を思い出そう

僕はこの本がお気に入りで、何度も読む本の1つであります。

いつまでも子どもをコントロールできると思っていたら大間違い。僕らがそうだったように、子どもはいつまでも子どもではなくて、すぐに大人になって僕たちの元から巣立っていきます。

だからこそ大事になってくるのが本書のいうとおり「自分プロデュース力」。子どもが自分で学んで動き出せるように、僕たち親は家庭教育することです。

甘やかしすぎてもダメだし、子どもができない事を放っておくことはもっとダメ。適切なところ、適切な位置で親がサポートや環境を用意してあげる。その方法を本書では学ぶことができます。

子どもに自転車の乗り方を教えたように、勉強でも何でも適切なサポートをしてやればきっと子どもは自ら出来た事が自信となり、伸びていってくれる。そう信じて僕も甘やかしすぎず、放ったらかしにしすぎず、サポートを入れてやりたい。

そう思っています。

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