僕は才能はある程度遺伝するものだと思っています。
オリンピック選手の親が、全然運動ができない運動音痴だったという話は聞きませんし、学校の運動会でさえも、足の速さはある程度遺伝で決まっている。素質があれば、そこからどう伸びるかは、努力次第でしょうけど、素質がなければ、まず同じ土俵にすら立てない。
勉強だってそう。ある程度は遺伝だと思っています。
だから色々な子育て本を読んできましたけど、僕が普通であれば子も普通。だと冷静に思っている自分がいます。一方で、ひょっとしたらトンビが鷹を生むこともあるのではないか?という期待もないわけではない。
才能がない親が鷹を生むにはどうしたらいいか?そんな事を悶々と考えていた時、たまたま元マイクロソフト日本法人代表の成毛 眞氏が子育て本を書いていらっしゃるという事を知り、「AI時代の子育て戦略」という本を手に取りました。
成毛氏も才能は遺伝する。とおっしゃいます。本当に才能は遺伝するのか?なら普通の子はどうしたらいいの?今回は、子どもの才能と遺伝についてをテーマにして書評を書いてみたいと思います。
くろちゃんパパ
- 思春期の娘二人(小学生、中学生)のパパ。
- 子育て本、教育本を100冊以上読む。
- 娘が生まれた時からずっと子育てに関わり、娘たちと今も良好な関係を築く。
- 長女の中学受験の勉強に毎日付き合い、中高一貫校の合格を親子で勝ち取る。
- 勉強だけで優劣が決まる今の教育に疑問をもち、未来型の教育に関心を持ち勉強中。
本書と著者のプロフィール
成毛 眞氏
1955年北海道生まれ。中央大学商学部卒業後、自動車部品メーカー、アスキーなどを経て、1986年日本マイクロソフト設立と同時に参画。1991年同社代表取締役社長就任。2000年退社後、投資コンサルティング会社インスパイア設立。2010年、おすすめ本を紹介する書評サイト「HONZ」を開設、代表を務める。早稲田大学客員教授(著書発行時)
本書の要点ポイント(書評)
一流のビジネスマン。元マイクロソフト日本法人社長 成毛氏が今ならどんな子育てをされるのか?とても関心をもって本書を読ませていただきました。本書は、AI時代に我が子を食える大人にするための成毛流子育て指南書です。
今の時代、自分よりも一回り年下の世代がベンチャー等で成功し桁違いの収入を得ている。一流大学に子どもを進学させて、大企業に就職させれば成功だという価値観に僕たちはもう疑問をもちはじめている。
では、これからの時代はどんな子どもであれば食べていける子になるのでしょうか?そのキーワードは「好きな事にハマること」
「これからは好きな事にハマれ!」という堀江貴文氏との対談もとても興味深い。受験勉強なんて必要がないという、成毛氏流子育て論が面白い。
子どもの才能は遺伝で決まる
以前の記事で、トンビは鷹を生まないという書かせていただきましたが、著者も、子どもの才能は遺伝で決まると言いきられている。本書では、その根拠として行動遺伝学、教育心理学を専門とされる慶応義塾大学教授、安藤 寿康氏の研究を紹介されています。
僕自身も冒頭にも書かせてもらいましたが、やっぱり才能は遺伝すると思っています。
著者は、スポーツや音楽など多くの分野が遺伝で才能が決まるのだから、勉強だけが遺伝しないというのは無理筋だとおっしゃっていますが、僕も同感。
子どもがプロになるための条件
どんな分野であってもいいから、夢中になることを見つけてほしい。最近の親がよく言うセリフだと思います。ですが、この夢中になることさえも、才能なんだと著者はいいますが僕は当たっていると思う。
素質だけでは一流にはなれない。一流のプロになる条件は
素質 + のめり込む才能
だといいますが、そのどちらもが遺伝なんだというのもよくわかります。「物事にのめり込む」というのは、口で言うほど簡単ではないからです。
今日から塾をやめてみたの著者・宝槻泰伸氏は、著書の中で実は没頭できる子というのはレアなんだとおっしゃるとおり、夢中になれること。のめり込めることを見つけるというのも実は難しい。
だったらコツコツ勉強してくれた方がいいんじゃない?そう考える親が多いのもよくわかります。ですが、子どもに勉強にのめり込む才能がないのに、「一流大学を目指せ」は逆に出来ない子どもを育ててしまう。
元マイクロソフト日本法人の社長が、無理に勉強をしてきた子は東大卒であれ「仕事で使えない」というのですから、シビアな話です。
受け継ぐ遺伝は勉強以外にもたくさんある
子どもが受け継ぐ遺伝は勉強以外にもたくさんある。
子どもにはどんな「のめり込む」才能があるのかを考えるにあたっては、親自身を見つめなおす必要があるといいます。自分は何もハマった経験がないという人も洗いなおしてみると、家庭の事情や経済的な理由で断念した「ハマっていた」事や才能があるかもしれない。
もし僕が本当に自由に生きていいと言われてたら、どんな道を目指していたか?を考えてみました。僕はとにかく音楽が好きでした。結局平凡な道を選びましたが、子ども達は僕が強制したわけではありませんが、二人とも音楽をしています。見事にハマってくれたと思うと、親の子どもの頃の思考が遺伝したんだなと腑に落ちました。
「でも音楽では食べてはいけないよな?」とは考えますが、そんな事は考えなくてもいいそうです。
著者は、
プロになれなくても好きな事を続けたという事実には意味がある。子どもは好きなことをしているとき自信を持つことができる。社会に出た時、どんな職業についても自信を持っている人は圧倒的に強い。だから好きな事をとことんやらすべきだ
といいます。
とにかくハマる経験をすることが大事だという著者。たとえプロになれなくても、このように自己肯定感を高めてくれるならそれだけで意味がある。
僕はそこそこ勉強できる子でしたが、特技がなにもなく、勉強しかできないことにコンプレックスをもっていました。子ども達は楽器を相当なレベルで演奏できるようになっています。それだけでとても羨ましいのですが、例え仕事に繋がらなくても、一生の自信につながってくれればそれだけで子育て大成功だったなと思えます。
子どもにゲームをやらせる理由
ハマるのはゲームだっていい。子どもにゲームやスマホはどんどん触らせるべきだという考えもすごく面白かった。
AI時代になると真っ先に文系脳の人が食いっぱぐれて、理系脳の人が生き残るというのですが、まず、理系脳というのが僕が思っていた理系とは意味がまるで違いました。
著者のいう理系脳とは、「理科数学」が得意な事ではなくて、新しいもの好き、世の中の変化が好きな事をいうのだそうです。
つまり、ドローンとかVRとか新しい技術にどんどん触れるタイプの人間。身近な例でいえば、新しいiphoneが出たらすぐに買って試す人!このタイプの人は理系脳です。
例えば買い物は全てキャッシュレスにしている人は理系脳だし、僕のようにまだ現金を使っている人は文系脳。
ゲームは新しい技術がどんどん使われる。だから、子どもにはゲームをさせなさい。というのが著者の思考。
確かにですよ、ポケモンGO*1というのが流行りましたけど、ポケモンGOは、ARという現実社会とゲームをリンクさせる技術を使っています。
すぐにポケモンGOを試している子どもと、親にゲームを禁止された子だと、将来、ARの技術に詳しいのはどちらかといわれたら当然、ゲームをやってた子でしょう。
新しい技術にどんどん触れられる子は、AI時代、技術がどんどん変化していっても対応できる。納得の解でした。
※ただしクリエイティブ感がない、ただの課金ゲームは否定されてましたね。
子育ては「ハマる」を探す旅
子どもは何にハマるのか?本当に我が子にハマるものが見つかるのだろうか?そう不安に思う事もあるでしょう。
上述した今日から塾をやめてみたの著者・宝槻泰伸氏は、子どもが何にハマるのか?を見つける為に、とにかく子どもに色々体験させてみるんだとおっしゃっています。数打てば当たる!というやつです。
仕事で忙しかった成毛氏が、奥様に1つだけ子育てで指示していたことは「習い事をさせてみて、続かなかったらすぐにやめる」だったそうです。子どもが何にハマるのか、ハマるまで試してみなさい。これも数打てば当たる。考え方ですね。
プロフィギュアスケーターの高橋大輔氏は、小さい頃、色々な習い事をしてもどれも続かなかったが、最後にスケートがハマったという話は有名です。プロテニスの錦織選手が様々な習い事をされていたのも有名な話。ご両親はいずれも子どもが何にハマるのか、一生懸命探す旅をされていたのだと思います。
僕も今、「ハマる」を探す子育ての旅に出かけている最中です。みなさんの子育ての旅はいかがでしょうか?