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「天才」は学校で育たないを読んだ。学校教育は過渡期。今こそ教育改革が必要

「天才」は学校では 育たない?

前回、僕の娘が私立高校の進学をあきらめて、通信制高校へ通う事を決めたことを書きました。僕が娘の通信制高校の進学を認めた理由のひとつとして、好きでもない勉強を無理やりして大学に行ったところで、

「たかがしている」と思ったと書きました。

ただの負け惜しみの一つではありますが、それでも先生がただ一方通行で授業を提供する今の学校システムに疑問をずっと持っていた僕にとって、娘がある意味、先にNOを突き付けた形で、ある意味ふっきれたし、思いきれたのかもしれないなと思っています。

学校教育は今過渡期を迎えています。

いい大学に入って、一流企業に就職すれば一生安泰である。これは僕が子どもだった頃の価値観で、このレールに乗れば人生成功というのはあながち間違いではなかったと思います。

しかし、これからは大学に受かるためだけの受験勉強では成功できない時代だと言われていて、学校を卒業したら使いもしないような勉強をするのではなくて、本当に自分がしたい勉強を高校からすることは、遠回りのようにも思いますが、将来きっと役に立つ。そう信じています。

そう思った時に読んだ、「天才」は学校で育たない。今の学校教育に疑問を呈す東京大学名誉教授の汐見先生の著書ですが、とても共感しましたので、今回は本書を紹介したいと思います。

目次

「天才」は学校で育たない。著者の紹介と書評

ポプラ社
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汐見 稔幸氏

1947年大阪府生まれ。東京大学教育学部卒、同大学院博士課程修了。現在、白梅学園大学学長、東京大学名誉教授。専門は教育学、教育人間学、育児学。育児や保育を総合的な人間学と位置づけ、その総合化=学問化を自らの使命と考えている。(著書発行時)

天才は学校で育たないよりプロフィール抜粋

今の学校教育では天才は育たない

「天才とは、1%のひらめきと99%の努力である」これはエジソンが言った言葉です。確かに成果を出すために、本人の努力は必要だが、天才が育つためには、その才能を見抜いてそれを花開かせようとする働きが必要である。という著者。

日本の教育は、これをしてこないで、本人の努力だけを強いてこなかったか?と問題提起をします。

日本の教育は、

  • 平均的にみんなを底上げする
  • 才能を伸ばすというよりも年相応の学びを提供する

には優れていますが、とびぬけた力を育てるシステムを持ち合わせていない。また、不登校が年々増えているのも、こうした旧態依然の学校教育に子ども達がNoを突き付けている証でもあるともいえるのではないか?

そう著者はいいます。

本来の「学び」とは何なのか?また、これからの「学び」はどうなっていくべきなのかを論じされている一冊です。今の学校システムでは、子どもの個性を伸ばしきれないと疑問をもっていらっしゃる方は必読です。

子どもや親が学びの場所を選べる社会に

本書が発売されたのは、2017年。増え続けている不登校について著者は言及されていますが、2024年になった今、不登校児の数はさらに増加を続けています。(そして我が子もその中のひとりです。)

増え続ける不登校に対して国もなんとかしなければいけないとずっと考えていたようで、2016年12月に、教育機会確保法が策定されて、学校以外の場所で学ぶことを希望する子どもの学びを支援し、義務教育の学び直しの機会を作っていこうという方向になったと本書では紹介されています。

巻末に、1970年代に不登校になったお子さんをもったお母さんの話が載っています。当時は不登校の子はほとんどおらず、相談するところもなかった時代、一生懸命子育てをされたお母さんが亡くなられたという話を読み、胸を締め付けられる思いでしたが今、ようやく、不登校の子達が、学校以外でも学べる多様性を認める一歩まできている。そんな時代になりました。

しかし、国がいくら不登校の対策に力を入れたとしても、不登校の数は増え続ける一方です。以前ブログにも書きましたが僕は、もう公教育だけで全てを背負うのは無理だと思っています。

様々な学びの場所があり、それを国が認めて、親や子どもが選べる環境を整えることに支援をいただく。そうすれば、不登校という概念はなくなると思います。

何度も書きますが、僕は学区制が大嫌いなんです。不登校の子を持つ親にとって、学校を選べる選択肢が多ければ多いほどありがたいのに、学区で通える学校が限定される。その学校に合わない子どもにとっては、行き場がないわけです。

学びの多様化は大事ですけど、公教育の学び直しを考えてくれるのであれば、学べる場所の範囲を広くしてほしい。以前マレーシアの教育事業について書かれた本をご紹介しましたが、学校をどんどん変えることができる。これって子どもが自分の居場所を探すために、ものすごく大事な要素なんですよね。

学びたい事を学ぶのが、本来の学び

教育とは本来、この人に教えを請いたいという弟子がいて憧れる師に教えを請うのが原点であり、孔子でも、釈迦でも、ソクラテスでもみんな彼らを慕う弟子が学んでいた。日本で発達した寺子屋もそう。学びとは、公的なものよりも私的なものが本来の学びだと思うと著者はいいます。

僕は子ども達に習い事を幼少期からさせています。僕に限らず多くの親が、子どもが幼い頃から習い事をさせている事と思います。

腕のいい先生や世間で評判のいい先生を自ら探して、子どもに教えていただいていますが、これは裏返せば、公的な学校教育に期待しないで、私的な学びで子どもの個性を伸ばそうとしているのだと、本書を読んで、まさにその通りだとはっとしました。

著者は、午前中は国の定めたカリキュラムを学び、午後は自分で考えたカリキュラムを学ぶ。これからこれからの学校のひとつのモデルになるのではないか?と本書で書かれているのですが、これは絵本作家の五味太郎氏も同じ事をおっしゃっていて、少し驚きました。

絵本作家である五味先生は、学校の勉強ではなくて、絵で個性を伸ばされた芸術家でありますが、それがまさか教育学を専門とされている汐見先生と同じ考え方だとは。。。

僕自身も汐見先生、五味先生のご意見に大賛成なのですが、ぜひ文科省はこういった教育に思い切って舵をきってほしいですね。

本書で、

学校で学ぶべき内容は、学習指導要領で決められているが、世の中で使う知識、スキルとして最低限必要なのは大体小学4年生までのものと言われている

「天才」は学校で育たない

と紹介されています。

勿論、だからといって勉強が無意味であるという事ではないとは断りがありますが、自分自身が関心がある事を自らの意志で深く学ぶことが本当の学びであるという視点でいえば、(実はこれも同じことを五味先生もおっしゃっています。)基礎学力とは別に、もう少し自らが学びたい事を学べる環境を子ども達に与えるべきではないか?僕もそう思うのです。

今の学習指導要領は、学ばなければいけないと定められている量が多すぎるのだと、ソニーの磯津 政明氏は著書「2040教育のミライ」でおっしゃっていますが、天才が育たない理由は、学びたくない勉強、本人にとって学ぶ必要がない勉強が多すぎるのだとはっきりそう思いますね。

やはり、天才は学校では育たない。今こそ教育改革を

教育は、その子の持っているその子だけの資質や潜在力、その子がなりたいと思っていることなどを感じ取り、その実現を応援する営みにすぎないのです。

「天才」は学校で育たない

著者のこの言葉が、本書でいいたかった事を要約しているように僕は思います。

本書は2017年に発売されていて、それから7年もたっているというのに、今もまだ学校教育は旧態依然とした、国が勉強の内容を押し付ける教育から脱却できていません。

基本的に恵まれた環境に育ち、子どもの頃から塾通いをし、偏差値の高い私立学校で学び、ずっと同種の人間たちばかりのコミュニティで育ってきた

教育激変

池上彰氏と佐藤優氏は、著書「教育激変」で、「学生たちは均質化している」と懸念をされておられます。つまりよく出来るんだけれど、突出した何かは感じられない、尖ったものを感じることができないという意味だと僕は理解しています。

優秀であるけれど、そこに尖った天才はいない。それはやはり今の日本の学校教育に問題があるのだといっていいと僕は思います。

学習指導要領が多すぎると書きましたが、今の教育は子ども達を縛りすぎている。多様な学びをどんどん認め、子ども達が学びたい場所で、学びたい事を探究できる環境を提供することでこそ、尖った天才を作ることができる。

「天才」は今の学校教育では育たない。だからこそ、汐見先生のような、教育を激変させる熱意をもった人材が、国には必要だろうと思います。ぜひ、今の日本の教育を激変させるパワーをもった人たちがもっともっと集まって知恵を出し合ってほしい。そう願います。

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