さかなクンのお母さんがすごい!
探究学舎の宝槻氏の著書「今日から塾をやめてみた」を読んで、そこに紹介されていたさかなクンのお母さんの逸話がずっと気になっていました。
学校の勉強を全くせず、魚の絵ばかり描いていたさかなクン。学校の面談で、もう少し学校の勉強もするように指導されたとき、お母さんは
「息子は魚の絵を描くのが好きだからそれでいいんです。」
といい放ったというあの逸話です。
さかなクンのお母さんって、どこまで子どもの事を信じて応援できる人なんだ!どんなお母さんなんだろうと興味が湧きました。
今回、このエピソードが掲載されているさかなクンの自伝、「一魚一会」を読み、さかなクンのお母さんの「子どもを信じる心」がどれだけスゴイのかを検証してみたいと思います。
本書と著者のプロフィール
さかなクン
東京都出身。東京海洋大学客員教授、東京海洋大学名誉博士。お魚の生態や料理法など魚類に関する豊富な知識で、2001年1月TBS系列「どうぶつ奇想天外!」に出演。2010年には絶滅したと思われていたクニマスの生息確認に貢献。さらに海洋に関する普及・啓蒙活動の功績が認められ、「海洋立国推進功労者」として内閣総理大臣賞を受賞。
本書の学びポイント(書評)
さかなクンのお母さんの子どもを信じるすごさ!
さかなクンのお母さんの我慢強さが、僕の想像を超えて半端ないと思いました。
さかなクンは幼い頃から「ハマる」子でしたが、水の生物でさかなクンが一番最初にハマったのがタコでした。
お母さんがさかなクンを水族館に連れて行くとさかなクンはタコ壺の前から一日中離れなかったそうです。入館から閉館までずっと。
僕も子どもを何度か水族館に連れていってますがタコ壺の前にいる子どもを一日中待ってられますか?と驚愕しました。
ましてや、タコ壺ですよ?たいていのタコはタコ壺の中に入りこんで、いつまでたっても姿を見せてくれないものです。
そのタコをずっと観察していたさかなクンもすごいですけど、それをずっと待っているお母さんってすごくないですか?それどころか
「へぇ~、タコっておこしろんだねぇ。お母さんもどんどんタコが好きになってきたよ」
とさかなクンを調子に乗せている。
当時はスマホもないだろうし、時間をつぶす方法もなかったと想像します。お母さんもさかなクンに「ハマって」、さかなクンをずっと観察していたとしか思えません。
僕ならすぐに根をあげて、「次行くよ」といってます。
探究学舎の宝槻氏はさかなクンのように何かにハマる事ができる子はレアだといいますが、子どもがハマっている事をとことん応援できるお母さんもきっとレアなんだろうな〜。と思いました。
また、僕が親目線ですごいと思ったのが、勉強じゃなくて魚にハマった子どもを応援したというところです。僕が親なら、例えば算数にハマっている子どもを見たら、それはそれはどんどん応援した事でしょう。それが子どもの将来に役立つと想像できるからです。
しかし、それが魚だったらどうでしょう?もちろん、子どもから好きを取り上げたりはしないけど、さかなクンのお母さんほど、とことん応援はできない気がします。
さかなクンのお母さんに「子どもの将来」などの打算は一切ない、ただ子どもが夢中になっている姿を見るのが好きなお母さんって印象でしかなかったです。
実際、さかなクンは勉強はからきしで、大学にも落ちて専門学校に通い、その後はアルバイトしています。その間もお母さんはずっとさかなクンの好きを応援している。本書を読めば、それがわかります。
一切の打算もなしに、子どもが大きくなっても、子どもの夢中をずっと応援し続ける事が僕に出来るでしょうか?自問自答しましたが、僕なら心配で心配で仕方ないと思います。
「子どもを信じる事」って簡単にブログで書く僕ですが、何だか恥ずかしくなってきました。さかなクンのお母さんの子を信じる想いは半端ないし、あのさかなクンが生まれたのは、偶然ではなく必然だなと腑に落ちました。
好きな事を突き詰めると斜めの関係が得られる
本書でもう一つ勉強になった事があります。さかなクンが周りの人間に救われ愛されてきた事。
好きな事を突き詰めると、斜めの関係*1が築けて、道が開けていくのだなという事を勉強しました。
本書によれば、さかなクンは小学校の頃はおとなしくて運動も苦手、教室の隅でずっと魚の絵を描いているような子だったそうです。
ですが魚が好きで好きで仕方がなかったから、1人で絵を描いていることも気にならなかったし、学校が終われば、大好きな魚を追いかけて、魚屋巡りをしていたといいます。
そこで、知り合った魚屋のお兄さんと仲良くなるのですが、この魚屋さんのお兄さんとの関係が斜めの関係です。さかなクンは、この斜めの関係の人に多く救われています。
斜めの関係は、僕が大好きな藤原和博先生*2やそれこそ探究学舎の宝槻康伸氏もおっしゃっている大事な考え方*3で、同級生でもなければ、親でもない先生でもない、利害関係のない年上の人生のロールモデルとなるような存在とコミュニケーションを取ることをいいますが、さかなクンはそれが抜群に上手かったのだと思います。
さかなクンは魚好きを武器に、多くの斜めの関係の人達と仲良くなっていく。本書を読めば、さかなクンの人生は決して魚エリートの道を歩いてきたわけではない事がわかります。ですが、斜めの関係の人達に救われて、最後には、東京海洋大学名誉博士にまでなっている。
好きを突き詰めて、斜めの関係ができると、学校の人間関係なんて狭い世界で深く悩まなくなり、それどころか、人生を切り開くこともできるんだな~。と深く感心しました。
本書では、さかなクンがいじめについて語っているところがあるのですが、ここで少し紹介したいと思います。
いじめや不登校に悩んでいる君へ。学校の外の世界は広い
さかなクンによれば魚の世界にもいじめがあるそうです。メジナという魚は、海の中では仲良く群れて泳いでいるのに、狭い水槽に入れたら、1匹を仲間外れにするのだそうです。さかなクンは
広い海のなかなら、こんなことはないのに。小さな世界に閉じ込めるとなぜかいじめが始まるのです。
と嘆きます。そして最後に、
小さなかごの中でだれかをいじめたり、悩んだりしていても、楽しい思い出は残りません。外にはたのしいことがたくさんあるのにもったいないですよ。広い空の下、広い海へ出てみましょう。
と投げかけている。
学校の世界は特殊な狭い空間です。さかなクンは学校は通っていましたが、きっと心の中は狭い水槽を飛び出し、広い海にあったのでしょう。
ものごとに夢中になれれば、学校という狭い空間のことは気にならない、世の中には広い海があり、そこには素敵な出会いや希望が満ち溢れている。
今、学校で友達関係に悩んでいる子がいたら、さかなクンのこの言葉を送って、学校の外には広い海が待っている事を伝えてあげたいですね。
結論。さかなクンのお母さんの「子どもを信じる心」が半端ないのは本当。
書評では最も印象に残った水族館のシーンだけを紹介しましたが、魚クンが大人になるまでずっ~とお母さんがさかなクンの魚の夢を応援しているのが本書を読めばよくわかります。
結論、さかなクンのお母さんの「子どもを信じる心」は半端ないです。僕にはとても真似できそうもないパワーを感じました。
けれども同時に、子どもをずっと応援し、見守る事の大切さを学び、勇気をもらいました。
うちは長女が将来の夢を見つけています。成功するかどうかはわかりません。けれども、ぶれずに信じて見守りたいな、応援したいなと思っています。
いつか子ども達の夢が叶った時に、本書を読んだことで子ども達を信じることができた。見守れてきてよかった。そういえる日がくるといいな。
↓本書の内容は映画化されています。