僕は関西に住んでいますので、あまり存じていないのですが、中学受験塾といえばSAPIXとよく聞きます。中学受験の奮闘記を書かれているブログを拝見すると、SAPIXに通われているという方が非常に多いようにも思います。
それだけ関東では、中学受験塾といえばSAPIXなんだな~と長女が中学受験しているときに思ったものです。
ですが、それほど有名な受験塾SAPIXに入ったからといって、みんながみんな難関中学に合格するはずはありませんよね。
僕が中学受験を終えて思ったことなんですが、難関中学に受かるかどうかは、すでに、中学受験塾に行く前に決まっている。つまり難関中学に受かる子と、受からない子には家庭学習に差があるのだと思っています。
その秘密というかヒントが書かれた本があります。「SAPIXだから知っている頭のいい子が家でやっていること」です。
今回は本書の書評になります。
- 将来子どもに塾通いをさせてたいと思っている親御さん
- 将来子どもに中学受験をさせたいと思っている親御さん
- 子どもの勉強について関心がある親御さん
くろちゃんパパ
- 思春期の娘二人(小学生、中学生)のパパ。
- 子育て本、教育本を100冊以上読む。
- 娘が生まれた時からずっと子育てに関わり、娘たちと今も良好な関係を築く。
- 長女の中学受験の勉強に毎日付き合い、中高一貫校の合格を親子で勝ち取る。
- 勉強だけで優劣が決まる今の教育に疑問をもち、未来型の教育に関心を持ち勉強中。
本書の紹介と著者プロフィール
佐藤 智氏
両親ともに教員という家庭に育ち教員の道を志す。横浜国立大学大学院教育学研究科修了。中学校・高校の教員免許を取得。出版社勤務を経て、ベネッセコーポレーション教育研究開発センターにて、学校情報を収集しながら、教育情報誌の制作を行う。その後独立してライティングや編集業務を担う株式会社レゾンクリエイトを設立。全国約1000人の教員へのヒアリング経験をもとに、現在は教育現場の情報をわかりやすく伝える教育ライターとして活動中。(著書発行時)
Amazonより抜粋
SAPIX流 頭のいい子を育てる方法とは?
簡単にいえば、本書は、中学受験のプロであるSAPIX小学部に「頭のいい子って家庭学習ってどうされてるのですか?」って聞いた本です。なので、SAPIXに通うと難関中学に受かるとか、はたまた受験テクニックが書かれた本ではありません。
そういえば、自分が学生の頃、勉強がすごく出来る子をいて、「一体この子はどんな勉強をしてきたんだろう?」と思った事を思い出しました。
その時に読んだ本に、「同じ勉強をして、なぜ差がつくのか?」というのがあるのですが、頭のいい子って、日常生活そのものが勉強になっているんだそうですね!
本書にも、「頭のいい子のご家庭は日常生活を学びに変えている」ということが書かれています。
ドリルを長時間こなしたから、難しい問題集をこなしたから、難関中学に受かるというものではない。さらにいえば、今の中学受験というのは、もう知識偏重のテクニックでは受からないようになっている。
ならば、どんな家庭教育をすればよいのか?これから中学受験を考えている方で、特にまだお子さんが小さいという方ほど、本書は必読だと思います。
「勉強は楽しい」を教える
僕は長女を勉強ができる子に育てようと当初考えていました。だから小学3年生の頃からは、少しづつではありますが、ドリルを活用して家庭で少しずつ勉強を一緒にしていました。Z会の問題集も買ってやりましたね~。
でも、親が押し付ける勉強、娘はきっと楽しくなかっただろうなと思います。
学ぶことが楽しい、楽しいから学び続ける、学ぶ続けるからどんどん得意になっていく。これが勉強が得意になっていく正しいループなんだと本書を読むと改めて気づく事ができます。
僕が娘にドリルを強要した時点で、子どもは既に勉強への興味関心を無くしていた。もっと早く本書を読んでいたらな〜と思いましたね。
以前読んだ本に「「算数が得意な子」にするために親ができること」があります。ジュニア算数オリンピックで金メダルをとられたお子さんを育てられた和田聖子氏の著書ですが、和田氏は、幼少期にドリルは買わないと決めておられて、算数が楽しいと思わせる工夫をしたことが書かれています。
実際、本書でも「こんなドリルを使うのがいい」とか「こんな参考書がいい」等の話は一切出てきません。子どもが小さい頃、親が学びは楽しいものだと教えられたかどうかで、頭のいい子が育つかどうかは決まる。というのが本書でも言いたいことだっただろうなと思います。
本書では、子どもが学び続けるために必要な力を3つ紹介されています。
- 「知りたい、わかりたい」という好奇心
- 言われたことに対して「そうなのかな?」と批判的に考える力
- 自らを表現する力
今、トレンドのように言われている能力ですが、これらの能力を、SAPIXに伸ばして欲しいというのは正直難しい。やはり家庭教育で土台が出来た子が、SAPIXで伸びていくということなんだなと思います。
家庭学習にひと手間をかける
本書ではSAPIXの各教科担当の先生が頭のいい子が育つ家庭学習の習慣について紹介されています。
いずれも親がひと手間かけなければいけないことですが、効果は抜群のように思えます。
例えば、国語であれば読書について、
国語力を上げるには、「あとで、どんな話だったか教えてね」と声をかけておき、読み終えたら、「主人公の◯◯は何をしたの?」「どんなことを思った?」など子どもにインタビューをしてみることです。
SAPIXだから知っている頭のいい子が家でやっていること
ただ本を読むのがいいのでなくて、その後の問いかけが国語力をあげると書かれている。
僕も娘が幼い頃、よく絵本を読み聞かせしたのですが、もう一工夫必要だったな~と思う。
また算数では、
「ホールケーキを6等分に切ってみよう」といった体験も大事です。どういうふうに切ると、きれいな6等分になるかを考えながらカットします。ケーキが大好きな子であれば、自分の取り分が小さくならないように、真剣に考えてカットしてくれるはずです。
SAPIXだから知っている頭のいい子が家でやっていること
とか、やっぱり親が日常生活の中で、勉強につながる楽しい体験を、一手間、二手間をかけて提案されている。
卵が先か鶏が先か、ではないですけど、子どもが幼い頃に勉強の楽しさを伝えられたら、いざ中学受験をする時には子どもに自学力がついていて、親はとても楽できるだろうなと思いました。
逆に、中学受験で親が勉強を一生懸命に教えているような場合、あまり伸び代がないのかなとも思いました。
まとめ 親は子どもが「勉強が楽しい」と思える工夫をするだけ
本書には「保護者はあまり勉強を教える必要はない。」と書いてあるのですが、勉強はプロにまかせておいて、子どもが勉強って楽しいと思えるように働きかけることが、親の本当の仕事だったんだなと腑に落ちました。
社会科の先生が
保護者が培ってきた教養を子どもに還元する機会が、日常の雑談(対話)です。
SAPIXだから知っている頭のいい子が家でやっていること
と書かれていたのが印象的なのですが、やっぱり親に教養があるかないかも大きいだろうな~と思いました。
落合陽一氏が著書「0才から100才まで学び続けなければならない時代を生きる学ぶ人と育てる人のための教科書1」で、お子さんに問いかける内容を読んだのですが、教養に満ち溢れていました。その内容を幼い頃から問いかけられてる子どもだったら、やっぱり勉強も伸びるだろうなと思った事があります。
そう考えると勉強も「遺伝と環境」であるというのは僕の主張でもあるんですけど、
それでも!
親が勉強って楽しいよという事を日常生活の中で教える事はできると思うんですね。そうすれば、子どもが「頭のいい子に育つ確率」ってぐんっと上がるんだなって思いました。
むしろ親はそこだけに注力して、勉強は塾にお任せするって事。あ~、もっと早く知っていたらなと思いました(この後悔を何度したことか・・・(苦笑))
まだお子さんが小さいという親御さんは是非、本書を参考にされてみてください!