はや2023年も終わろうとしています。今年も色々なテーマをもって教育本を読んできた僕が、僕と同じように思春期の子育てに悩み頑張っている親御さんにおすすめできるベスト本を統括して紹介したいと思います。
紹介する本については、最先端の教育について考える本もあれば、普遍的な事が書かれているロングセラー本まで幅広く、それこそ新旧問わず、読んで本当に役に立ったな~という本をテーマ別に紹介したいと思います。
思春期の親なら誰でも悩むようなテーマもありますが、僕が旧来型の教育から未来型の教育に思考がシフトしているので、一般的な親の悩みと少しかけ離れているテーマもあるかもしれません。その点ご了承ください。
ただ関心のあるテーマであれば、間違いなくそのテーマについては、ここに紹介している本はお勧め本だといえますのでご参考くださればと思います。
くろちゃんパパ
- 思春期の娘二人(小学生、中学生)のパパ。
- 子育て本、教育本を100冊以上読む。
- 娘が生まれた時からずっと子育てに関わり、娘たちと今も良好な関係を築く。
- 長女の中学受験の勉強に毎日付き合い、中高一貫校の合格を親子で勝ち取る。
- 勉強だけで優劣が決まる今の教育に疑問をもち、未来型の教育に関心を持ち勉強中。
2023年 僕の子育て、教育の統括
まずは今年1年の僕の子育て、教育について統括してみたいと思います。
長女
長女は、中学3年生になりました。中高一貫校に通っているので受験はありません。ですが年々勉強量は増えているようで、大学に行くためだけの勉強が多忙で、自分が好きな分野の勉強がなかなかできない事を悩んでいるようでした。
僕は学校の方針とは異なるかもしれないけど、学校の勉強は最低限にして、自分が将来において学びたいと思っている分野の勉強を優先してやったら?とアドバイスしました。
世間では、中高生の不登校が増えているというニュースがありました。僕は不登校の背景に学校でいじめがあったような事も勿論あると思いますが、単純に今の学校がつまらないのだろうなというのを少し思っています。
なので自分が学びたい事が別にある人は、公教育を避けて、むしろ積極的に通信制高校へ行く子も一定数いるだろうなと思った事もあり、不登校や通信制高校の関連本を結構たくさん読んだ年でした。
次女
次女は小学5年生になりましたけど、勉強が好きではないし、また学校も楽しく行っている様子なので、中学受験をしない事を決定した1年でした。
次女の良い所は、勉強は得意ではないけれど、やると決めた事、やらないといけない事は必ずやるという能力があるところです。宿題も言わなくてもしますし、習い事の練習も僕がついて見た事もありません。全部自分で決めて、自分でやる。そんな子に育ちました。
勉強は決して得意ではないけれど、中学になって自分の目標を見つけてくれたら自然とその道で頑張ってくれるのではないかと思っていますが、勉強が得意ではないからといって、塾に通わせることもなく、結果、大学に通えなくてもいいのか?と娘の将来を考えながら迷った1年でもありました。
そこで今の大学入試、これからの大学進学についての本をたくさん読んだのも今年でした。
2023年 僕が読んだ本当に為になる教育本をテーマ別に紹介する
さて、僕の今年1年の子育て、教育を統括したところで、いよいよ僕が今年読んだ教育本のおすすめをテーマ別に紹介していきたいと思います。
娘たちが思春期を迎えているので、もう子育てというよりも子離れの時期にきています。なので読んでいる本の多くは子育て本ではなくて、教育本が多いですが、僕と同じように思春期のお子さんをお持ちの方が共感してくださるテーマがあれば、ぜひご参考くださればと思います。
遺伝
僕が今年最も関心をもったテーマが実は「遺伝」なんです。
子どもが思春期を迎えて、どうも二人共学校の勉強が好きではない(苦笑)。一方で、学校には、勉強が好きで得意な子がいる。偏差値60以上の学校へ通っているお子さんなんかを見ると、僕にしたら異次元で、どんな子育てをされているんだ?とその答えを見つけられずにいるのですが、1つ思っている事に、
「これって、遺伝なのでは?」というのが前々からあります。
スポーツの世界はわかりやすいと思います。運動音痴の親からオリンピック選手が決して出ないように、勉強だってきっと遺伝だろうと僕は思っていました。
そんな時に出会った本が、「日本人の9割が知らない遺伝の真実」という本です。
行動遺伝学という立派な学問があり、勉強についてもほぼ遺伝と環境で決まるんだということが、学問上証明されていると知った時は衝撃的でした。
でも遺伝だから凡人は勉強を諦めろという事ではなくて、大事なのはここから。
(勉強に才能がない)子どもに勉強を無理に押し付けるのではなくて、人には皆何かしら才能がある。勉強だけじゃなくて、子どもの眠っている才能を見つけましょうよ。という事なんです。
本人が勉強が好きで夢中になってくれるのならそれに越したことはありませんが、本人が好きでもないのに勉強!勉強!と押し付けるものではないなと悟った1年でした。
自己肯定感
最近の子育て本を手に取ると必ず出てくる言葉が「自己肯定感」です。
どの本も子どもの自己肯定感を高めなさいと説き、自己肯定感を高めるには、子どもを褒めて育てよう。失敗しても叱らずプロセスを褒めよう等といった事が書かれているんですけど、「これなら、どの家庭でもきっともうやっているよ?」と僕は思っています。
でも、日本の中高生は諸外国に比べて極端に自己肯定感が低い。1
自己肯定感って、本に書いてあるほど簡単には高められないんだよなってずっと思っていました。
で、色んな自己肯定感の高め方という本に違和感をもっていたのですが、しっくりきた本があったんですね。それが、「男の子の自己肯定感を高める育て方」という本です。
この本は、元開成高校の校長先生だった柳沢氏が書かれた本で、男の子向けのタイトルになっていますが、
- 日本人の自己肯定感が低い背景に同調圧力があるという話だったり
- 勉強だけの自己肯定感って意外にもろいって話だったり
- 男の子なら一人暮らししてそこから這い上がった自信が自己肯定感に繋がるって話だったり
この本を読んで、自己肯定感って言葉が初めてしっくりきたんですね。
男の子がいるご家庭はもちろん、女の子がいるご家庭でも読んでおいて損はないと思います。
自己肯定感の本でおすすめ本をもう1冊。これは完全に僕の好みになるんですが、岡嶋かな多氏の「夢の叶え方はひとつじゃない」という本をお勧めさせてください。
著者の岡嶋かな多氏は、オリコンチャート1位の曲を100曲以上持つ作詞作曲家で、今をときめくBTSやTwiceにも楽曲を提供する等グローバルに活躍されていて、この本は中高生向けに夢の叶え方について書かれた本なんですね。
で何で僕がこの本をお勧めするのかというと、著者は、中卒で学生時代は「ずっと自己肯定感が低かった」と書かれているんです。
自己肯定感を高めなさい、という世の中の圧力に苦しんでいる中高生いっぱいいると思うんですよね。でも、自己肯定感が低くても、人生を切り開いた人がいる。今自己肯定感が低くてもいいんじゃないって、本書は中高生が救われる本なんじゃないかなって思うんです。
Edtech
Edtech(エドテック)。この言葉を知ったのは最近です。Educationとテクノロジーをミックスした言葉で聞きなれない方も多いと思いますが、スマホの学習アプリなんかもEdtechですし、オンライン英会話なんかもそうなんです。
教育とテクノロジーの親和性は抜群だと思っていて、未来の教育はEdtechに向かっているんだと色々な教育本を読んでワクワクさせられました。
Edtechの可能性について言及している本は何冊かあるのですが、その中でも僕が読んでワクワクできた本が、「2040 教育のミライ」です。
あのソニーがEdtechに力を入れているというのも初めて知りましたが、公教育とはまた別の角度で教育を変えていこうという著者の礒津氏のビジョンに僕は共感しました。
また本書で磯津氏が
- 文科省の学習指導要領は多すぎる事を指摘したり
- 過熱する中学受験に釘を刺されている
のも印象的だったのですが、特に巻末のソニーグループ前社長・平井一夫氏との特別会談で、日本は80点の人材を作るのは上手いけど、突出した人材を育てるのが下手だというのは特にインパクトがありました。
しかし、それを打破する為に、民間が動き始めている。近未来にはもっと多様化した学びが日本でも生まれるのではないか?と期待が膨らみます。
大学入試(総合型選抜入試)
大学入試改革がはじまっています。従来の知識詰め込み型の試験では今後大学入試を突破できない。僕も大学入試改革については結構調べました。
ただ、大学を学力試験で突破する生徒は年々減っていて、近年、推薦入試や総合型選抜入試での入学が増えている。特に私大では、一般入試で入学する子の割合は5割をきっているのです。2
学力を度外視した入試方法には僕は疑問があるのですが、それでも、大学に受かる事を目的とした受験勉強を経ての入学ではなくて、大学で何を学びたいのかを可視化した上で入学するという流れについては賛成するところがあります。
今後、我が娘が受験する頃には間違いなく総合型選抜入試が主流になっていると思っているのですが、総合型選抜入試ってどんな入試なのかを理解するために役立った本が、「AO入試・推薦入試の黄本」です。
AO入試とは、現在の総合型選抜入試の事です。名称が変更になったのですね。本書はAO入試時代の本で少し古い本にはなりますが、総合型選抜入試の基本を理解するのには最適本だと僕は思います。
不登校(通信制高校)
年々、学校に通えない不登校の生徒が増えています。3色々な要因はあるとは思いますが、僕は時代が学びの多様性を求めているのが一番の要因なのではないかと思っています。今公教育は過渡期を迎えている。
不登校の生徒が増えるにしたがって、通信制高校の数が急激に伸びています。例えば有名なところでいえば、学研なんかも最近通信制高校のサポート校で参入すると発表があったくらい4、雨後のタケノコのようにどんどん増えている。
まだ発展途上ではありますが、通信制高校やネットの高校というのは今後、学びの多様化において重要な役割を持つ可能性がある。そう思って僕が読んだ本が、「ネットの高校、日本一になる。」です。
通信制、ネットの高校で、日本一の生徒数を誇るのがドワンゴが運営するN高等学校/S高等学校。N高等学校とはどんなところなのか、実際にN高等学校に通い卒業した方の体験談を交えながら、N高等学校の魅力について理解できるのが本書です。
僕はこの通信制高校を前向きに捉えているのですが、それでも通信制高校に通って良かったと思えるには一定の条件が必要だとも思っています。その点については後日記事にしたいと思いますが、通信制高校については来年も勉強していきたいなと思っています。
友達関係
最後に、思春期の子ども、特に女の子のお子さんがいらっしゃるところでは普遍的なテーマだと思う、友だち関係について書かれた本を今年も1冊お勧めさせてください。
「友だち幻想」という本です。
みんな仲良く、みんな同じ。という考え方を長い間押し付けてきたのが、学校だと思います。学校という小さなコミュニティの中で、たまたまうまくやっていける子はいいけれど、そこから外れてしまうと、とても息苦しくなるのが学校です。
不登校が増えている要因の一つにこの日本の学校独特の閉塞感があると思っていますが、お子さんが友達関係に悩んでいるという親御さんであれば、本書を読んでみる事をおすすめします。
学校で合う人もいえば合わない人がいる。それは大人の世界で考えれば当たり前で、学校だけが、みんな仲良くみんな友達というのはおかしい。友だち100人できるかな♪という歌がありますが、これはもう幻想なんだということです。
- 学校、または先生が中心となって、みんな同じ方向を向いて、団結して頑張ろう!というのはいらない。
- どんな生徒にとっても学校は安全な場所であることを学校は保障することに力を注ぐべき
- 先生が目立つ必要はない
というのはとても共感しました。
学校というのは、合わない人ともある程度の距離感をとって、何とかうまくやっていく事を学ぶ場所である。人と人とのつながりについて考えてみましょうよという本書は、友だち関係の呪縛に悩んでいる生徒に勇気を与えてくれるかもしれません。
まとめ
今年もたくさんの教育本を読みましたが、公教育は本当に過渡期を迎えていると思います。文科省も頑張ってくれていますが、文科省という枠組みだけで、子ども達の細分化された教育ニーズを全てくみ上げるのはいよよい難しくなってきたんだなと思います。
学びの多様化を求める子どもたちのニーズに応える形で、通信制高校やネット高校が激増しています。今までは通信制高校というと勉強についていけない子が行くところ等ネガティブな印象があったと思いますが、今は進学校に通っている子が自分が学びたいことを探究する時間を求めて、積極的に通信制高校を選ぶような時代になりました。
また学びたい事をとことん探究するという事でいえばEdtechもどんどん普及しそうな勢いです。公教育は先生の年齢層が高くなってきていることもあって、なかなかデジタルへの移行が進まない問題がありますが、民間の力でどんどんEdtechが伸びてきている。
それこそ2040 教育のミライではないですけど、2040年には学校教育は大きく変わっている可能性があるなと僕は感じています。
近未来、教育は激変する。僕は僕で、自分の子どもにあった教育環境を用意できるように引き続き準備していきたいなと思っています。