思春期の子を持つ親として、子どもの友だち問題にずっと悩んできました。友だち関係は子ども自身の問題であるので、親が直接介入することはないんですけど、子どもの学校の様子を聞いて、あまり友だちとの関係が良好ではない、友だちグループにはいるんだけど、何か自分だけ浮いているような気がするなんて聞くと、親としてもつらいものです。
子どもに心を許せる友だちがいない、または少ないなって思う時、子どものコミュニケーション能力が著しく低いのではないか?このまま社会に出てやっていけるのか?
そんな不安にさいなまれ、悩んでいた時に出会った本があります。「みんなと違う」自分を大切にする方法という本です。
精神科医・医学博士でいらっしゃり、臨床経験30年、発達障害の著書などでベストセラーを書かれている本田秀夫先生の著書で、今回ご紹介する本は、中高生向けに書かれた本になります。
結論から言うと、久しぶりにものすごくいい本に出会いました。この本を読んで、気持ちがすごく前向きになれたし、子どもだってきっと大丈夫だと思えるようになりました。僕と同じように友だち付き合いに悩む中高生やその親御さんにも是非読んで欲しいと思います。
「みんなと違う」自分を大切にする方法 書評
本書の紹介と著者プロフィール
本田 秀夫氏
信州大学医学部子どものこころの発達医学教室教授。精神科医師。医学博士。1988年、東京大学医学部卒業。東京大学医学部附属病院、国立精神・神経センター武蔵病院、横浜市総合リハビリテーションセンター、山梨県立こころの発達総合支援センターなどの勤務を経て、2014年より信州大学医学部附属病院子どものこころ診療部部長。2018年より現職。発達障害の臨床に30年以上従事し、学術論文や著書多数。
「みんなと違う」自分を大切になる方法
友だち付き合いに悩む思春期のお子さんに読んで欲しい
思春期の子を持つ親として、ずっと子どもの友達問題に悩んできました。
僕が子どもの頃は、友だち関係で悩んだことが正直ありませんでした。だから自分の子どもの友達関係で悩むなんて思いもよらなかったし、どうしていいかわからないところもありました。
自分の事なら自分で何とかするんですけど、子どもの事は子どもが自分で克服するしかない。何とかしてあげたくても親は何もできないのが現実です。
けれど、本書を読んだ後、友だち付き合いについて、子どもにどう声かけをしたらいいのか?友だち付き合いにそんなに悩まなくても大丈夫だよと声をかけてあげられる。そんな自信や勇気を得ることができました。
まじですごい本です。親が読んで本の内容をアドバイスしてもいいですけど、親がいうと反発するのが思春期の子どもなので、
「友だち付き合いの本で、いい本があるよ」
といって、子どもに読ませるのが一番いいと思います。本とはいえ、親よりも著名な先生が直接アドバイスしてくれる方が絶対に子どもの心に響くと思うのでおすすめです。
本は中高生向けに書かれているので、本当すぐに読み切れます。大人の僕なら1時間くらいで読めました。漢字全てにルビがうってあるので、小学生の高学年の子でも読めるんじゃないかって思います。
そのくらい子ども目線で、子どもの気持ちに寄り添って書いて下さっている本です。
友だちができるかどうかは運次第のところもある
僕が本書で一番共感したのが、「友だちができるかどうかは運次第のところもある」と書かれているところです。
学校生活を過ごしていると、気の合う人が多いクラスに入れることもあれば、友だちが誰一人いないクラスに入ってしまう事もある
「みんなと違う」自分を大切になる方法
先生にこういってもらえたら、子どもの気持ちがどんなに楽になるだろうと思いましたね。僕がブログで何度も紹介しているブルーハーツ甲本氏が言ったといわれている言葉、
「友達じゃね~よ、クラスメイトなんて。たまたま同じ年に生まれた近所の奴が同じ部屋に集められただけじゃん。」
そうなんですよね、別に友だちでも何でもない同年代の子が集められただけなんだから、友だちになれるかできるかどうかはわからないし、運次第のところもある。けれど、いつかきっと運が巡りまわってきて、気の合う友だちがどこかで出来るはず。そんな勇気を著者はくれるのですね。
友だちの普通に合わせなくていい
「友だちの普通に合さなくてもいいんだよ。」著者が本書で子どもに一番、伝えたかったことだろう事だと思います。
この言葉も本当に勇気をもらえます。友だちグループで話していても、自分だけがみんなと感覚が「違う」。疎外感を感じる。時に仲間外れを感じてしまう。
中高生って、グループの普通と違う子を疎外するという残酷なところがあり、それで悩んでいる子も多いと思います。
けれど、友だちグループの常識や普通は、その狭いコミュニティだけの常識であるのだから、それに合わないと思ったら、そのグループからは距離を置いたり、離れたりしてもいいんだよ。という著者の言葉にはっとしました。
小さな狭いコミュニティ(友だちグループ)の常識が決して世間の普通ではない。自分が普通ではないなんて悩む必要はないんですよね。
自分の好きを大事にすれば、いつかいい出会いがやってくる
友だちに合わせなければ。。。
独りぼっちにならないために、友だちと上手くやっていくために、自分の気持ちを殺して友だち付き合いをしている子もいるのではないでしょうか?
そういう意味では、友だち付き合いは多少ストレスが発生するものだと思っておいた方がいいという著者。それでも、自分の気持ちに逆らってまで、その友だち関係を続ける必要はないとは言っても、学校で独りぼっちになることは辛いことだと思います。
一人も辛いよね。と著者は寄り添いながら、こんな方法もあるよと子ども目線で、子どもに寄り添いながらアドバイスをくれています。
一人で辛い時期もあるだろうけど、自分の気持ちに正直に、自分の好きを大事にしていれば、きっといつかいい出会いに巡り合える。
まさにその通りだと僕も思います。
学校生活はある意味特殊な空間だと思うし、ごく限られた狭いコミュニティであります。その中で、「みんなと違う」といわれて疎外されてしまう子が多い。
けれどそんなコミュニティは捨てて、自分に合うコミュニティを探す旅に出ればいい。
最後に、著者の
普通を捨てるのは何かをあきらめる事に似ている。でもそれはあなたが本当に大切にしたいものを明らかにするための前向きな行動です
「みんなと違う」自分を大切にする方法
という言葉を引用しておきたいと思います。
そして本書を、友だちと感覚が違うと疎外感を感じて悩んでいる思春期の中高生みんなにおすすめしたいと思います。
P.S 自分らしさを大切にする為には、他の人の自分らしさも尊重しなければなりません。という著者の言葉は大事だと思いました。合わない子を批判するのではなくて、その子の事も尊重しながら、ただ、自分が普通ではないとも思わない。自分が普通であるというコミュニティがきっとあるし、それを探すのだという勇気が必要だというメッセージですね。
友だち関係に悩んでいるなら、こちらの本もおすすめです。
友達関係に悩んでいる中高生のお子さん、または親御さんは、下記本も併せて読むといいと思います。