日本テレビで絶大な人気を誇っていたアナウンサー桝太一さんが、日本テレビを退職し、同志社大学の助教授に転身されたニュースは驚きました。
個人的にも桝太一さんのアナウンサーとしての技量はすごいと思っていたし、これからもアナウンサーとしてキャリアをどんどん積んでいかれるのだろうなと思っていただけにこの決断は素直にすごいなと思いました。
桝太一さんのことは、娘も好きなアナウンサーと言っていて、この件は、家でもすごく話題になったので記憶に新しい。
そんな折、見つけた本が、「なぜ私たちは理系を選んだのか」という本。桝太一さんが監修されていて、とても興味深く手にとりました。
- 理系で活躍されている方がどうして理系を選んだのか知りたい方
- 著名人や成功されている方の学生時代を知りたい方
- 理系に憧れている中高生
本書と著者のプロフィール
桝 太一氏
1981年千葉県生まれ。麻布中学・高校を経て、東京大学理科二類入学。同大学農学部水圏環境専修卒業。同大学大学院農学生命科学研究科修了。2006年日本テレビ入社。日本テレビ退職後、同志社大学ハリス理化学研究所助教授。フリーアナウンサー。
本書に出てくる著名人
- 山崎直子さん(宇宙飛行士)
- 下村実さん(四国水族館)
- ゆきりぬさん(YOUTUBER)
- 海堂尊さん(ベストセラー作家)
- 渡邊典子さん(オリエンタルランド)
- 田島木綿子さん(国立科学博物館)
- 廣瀬俊朗さん(元ラグビー日本代表主将)
本書の要点ポイント
- 桝太一さんは東京大学卒業。アナウンサーだから文系なんではと思われた方もいらっしゃると思いますが、実は、理系出身です。大学と大学院では、アサリの研究をされていたそうです。
- 本書は、桝太一さんが、大学で理系を学び、様々な分野で活躍されている著名人7人にインタビューしたものを監修した本です。
- 著名人が、いかにして理系を選んだのか、文理選択で悩んでいるお子さんにヒントとなります。
- 著名人が、理系を勉強してよかったことは?理系の勉強が今の仕事にどう生きているのか?などがわかります。
- 著名人は意外に理系科目が得意という理由で、理系を選んでいない。むしろ、「やりたい事」を優先して理系を選んでいる。
- 7人の著名人に共通していた力は、「ものごとを論理立てて考えられる力」ロジカル・シンキング。この力こそ<理>の力。
- <理>の力は、理系で身に付きやすいものではあるが、将来的には文理の壁を越えて、自分がやりたいことを学び、理の力を身につけることができればよい。
本書を読んだ感想(書評)
本書に登場する理系出身でバリバリ活躍されている著名人が、実は勉強が苦手だったり、全然理系じゃなく、むしろ文系が得意だったり、遠回りされていたり。
えっ~!そうなんだと。とても楽しく読ませていただきました。
バリバリ活躍されているので、学生の頃は、優秀な生徒で留学などもして、完璧な人生を歩んでいらっしゃるのだろうなと思いきや、全然そうではなかったのも意外。みなさん、結構普通の学生生活を送っていらっしゃるのも、好感がもてます。
そして、勉強ができた!よりも、むしろ「好き」なことを探究された結果が今に繋がっている方が多かったのが、印象的でした。
好きなことを極めようとすれば、必ず学問にぶつかる。
本書での印象的な言葉ですが、好きを追求すれば自然と学問につながり、勉強するんだなと。
「勉強しなさい!」(親)
で、親が理想とするような子は育たない。やっぱりそうなんだと、今回も学習(笑)
さて、勉強が将来、仕事に役立つのか?これを子供が理解するのはとても難しいと思います。
- 「なんで勉強なんかしなくてはいけないの?」
- 「勉強したら、なんかいい事あるの?」
勉強の意味がわからないから、勉強しない。自分もそうでしたが、それがまぁ普通の子どもでしょう。
でも本書を読めば、著名人のようなキラキラした職業に就くには、英語って役立つんだなとか、数学や物理ってこういう仕事に繋がるんだなとかわかる。
親が言うよりも、キラキラ輝いている桝太一さんや、各界の著名人に語ってもらうほうが説得力があるのは、以前から説明しているとおり。本書を読むことで、ぼんやりとでも、勉強する意味を理解してくれればと思います。
女性でも理数系!
最後に、桝太一さんがインタビューの中で、7名に共通している力は、ロジカル・シンキング。物事を論理的に考える力だとおっしゃっているのですが、これは本当に将来必要な力だと思います。
文科省もアクティブラーニングや探究といった授業に力を入れ始めていますが、今は、まだ理系のほうが、論理的に物事をとらえる力というのは育つだろうなと思います。
もちろん娘が文系が好きであればそれに異論を言うつもりはありませんが、文理選択でもし悩んで相談してきたら、今なら理系をすすめるかな。
理系といえば男というイメージもあるかもしれませんが、本書で理系で活躍している女性をみれば、女の子でも理系で輝けるんだとわかって視野が広がりますね。
最近は私学の取り組みがいいのか、理系をやりたい!と思わせる授業も多いみたいで、理系に進学する女子が多くなってきている。
私立鷗友学園の名誉教授である吉野明氏は、著書「女の子の自己肯定感を高める育て方」で、女子だから理数系が弱いという思いこむを捨てることと話されていて、実際、鷗友学園の理系の進学率は4割もあるようです。
こうした学校は親ではなくて、先輩がロールモデルになって影響を与えている。
就職に有利だから理系ではなくて、理系を学ぶ楽しさだったりをロールモデルだったり、メンターだったりが伝えている。これが私立のよいところでもありますね。
本書を読んでも、理系で輝いている女性が紹介されているから、ロールモデルになると思う。子どもの視野を広げるためにも、いい本だなと思いました。