長女の期末テストが終わりました。結果は、本人もまずまず納得できたようです。ですが、親からみて、常に全力の娘がもう少し力を抜いて効率的に勉強ができたらなら、もっと勉強は楽しくなるだろうなと思いながら見守っていました。
うちの娘が通う私学は中堅なので、そこまで内容は難しくないのですが、難関中学に通っていらっしゃるお子さんの中には、一生懸命勉強しているはずなのに、勉強方法が非効率で、結果、同級生に水をあけられているという悩みをお持ちの親御さんもいらっしゃるのではないでしょうか?
- 勉強ができる子はどういう勉強をしているかを知りたい
- 子どもは一生懸命勉強しているがなかなか効果が出ていない
- 子どもの勉強のモチベーションがあがらない
こうした悩みをお持ちの親御さんにおすすめしたい本があります。「シンプルな勉強法」という本です。
- 東大生の勉強方法を知りたい人
- 効率のいい勉強方法を学びたい人
本書の紹介と著者プロフィール
河野玄斗氏
1996年神奈川県生まれ。東京大学医学部医学科を卒業。在学中には、司法試験にも一発で合格している。第30回ジュノン・スーパーボーイ・コンテストでは、ベスト30にも選ばれる。(著書発行時)
同じく元東大王・鈴木光さんの著書「夢を叶えるための勉強法」もおすすめです。
本書の要点ポイント(書評)
著者の河野氏は、東大医学部在学中になんと司法試験にも一発合格されています。しかし、彼は自分は決して超人的な能力をもっているではなく、勉強の仕方がうまいのだとおっしゃいます。
まぁ、著者はこのように否定されていますが、やっぱり普通の人よりは賢かったと思います。一方で、著者もおっしゃっていますが、「勉強を楽しいと思って、とことん追求した」方だといえると思います。
それで、とことん根を詰めて勉強をしていた方なのかと思うと、決してそうではなくて、どうしたら効率的に勉強ができて、最大限の結果を得ることができるのかを、突き詰められたという印象。
ダルビッシュ有氏の
練習は嘘をつかないって言葉があるけど、頭を使って練習しないと普通に嘘つくよ。
— ダルビッシュ有(Yu Darvish) (@faridyu) 2010年6月11日
を引用し、その勉強方法は最も効率的な勉強法ですか?と問う著者。本書には、河野氏の考える最も効率的な勉強法のノウハウがぎっしりと詰まっています。
国英数理社の各教科の勉強法や、司法試験に合格した河野氏の具体的な勉強法なども、もちろん本書で学ぶことができるのですが、それよりも、いかに勉強を効率的にするかの工夫、勉強をまるでゲームのように進めていく工夫などのノウハウが僕には目につきました。
なるほど、本書を読んだからといって、誰もが東大に行けるようにはならないだろうけど、勉強のモチベーションがあがったり、楽しくなったり、目的を持てたりできる。そして、これなら誰にでも実践できる。そう思えた一冊です。
勉強を効率化する方法
できるループを回す
僕が本書で最も共感したのが、「できるループを回す」という考え方です。できるループとは、勉強ができる楽しさによって勉強を加速させる仕組みだと著者はいいます。
出来ない問題を一生懸命解いても、楽しくもなんともない。結果、勉強も長続きしません。それよりも、勉強は自分の実力よりもほんの少し難しいくらいにトライするのがちょうどいい。自分が少し頑張れば登れる壁を登り、登りきれた時の達成感が、勉強を楽しくする。そしてまた挑戦する。
それこそが「できるループ」!
うちの次女は、今スマイルゼミの通信教育をしています。中学受験や、高校で難関高校受験を意識するなら、Z会の通信教育がよいのでしょうが、Z会はレベルが高い。できるループをまわすためには、今はスマイルゼミがよい。
長女は中堅私立中学に通っています。当初は難関校を目指していましたが、難関校で勉強についていくのがやっという状態よりも、自分のレベルにあった勉強をする。できるループをまわすためには、中堅私立中学があっていたなと今は思っています。
でも、なぜか勉強は加速はしてないんですけどね(苦笑)
やるべきことの優先順位を決める
優先順位を決めることも勉強を効率化するためには大事な事だと本書で学ぶことができます。
例えば娘の私立中学のテストの出題範囲はかなり広いです。一朝一夕、一夜漬けでは良い点は採れないようになっています。
当初、勉強に張り切っていた娘は、とにかく全てよい点が採れるように勉強を徹夜もしながら頑張っていました。
でも僕はずっと、「優先順位を考えなさい」と言っていました。もちろん、すべての教科でよい点がとれるに越したことはないのですが、。国語数学英語理科社会に加えて、音楽や技術も試験があるのですから、小学生時代と違い全てが満点である子というのは、非常にまれだと思った方がいい。
なら数学と英語を重点的に頑張ろう!この教科でいい点をとればすごい自信になる!といった教科を優先して勉強する。二兎を追う者は一兎をも得ずです。まずは一兎を得るようにしよう。
この考え方は、勉強だけでなく、物事を判断するときに優先順位をつける。という決断力を養うのにもいいなと思っています。
目標をたてて逆算してゴールへ向かう「逆算勉強法」
これが著者が一番伝えたかった章だろうとな勝手に思っているのですが「逆算勉強法」!これこそ最も勉強を効率化する方法だといえると思います。
著者のいう逆算勉強法とは
- 目標を立てる
- 目標を分析したあと、それに向けておおまかなスケジュールを作る
- おおまかなスケジュールを細かく分けて、タスクベースとその日1日の目標を作る
やっぱり勉強できる人って「目標を立てて逆算してるんだな」と腑に落ちましたし、これは学生に限らず、大人になってもずっと有効かつ効率的な勉強方法だと思いました。
大事な事は目標を立てる。そして、目標を理解することです。
繰り返しになりますが、全教科でよい成績をとる必要があるのか?について、仮に50点とったら合格できるテストなら、極論、50点をとれたらそれでよいわけで、100点とる必要はないわけです。50点が合格点なら、少し余裕をもったところで、例えば70点くらいの目標を立てればいい。
目的は100点をとることではなくて、試験に受かる事。目的が何なのか本質を見失うと、勉強の効率はぐっと落ちますね。
僕は完ぺき主義になりがちな長女によく、「100点はとらなくてもいいよ。だって70点で合格なんだもん」って事もよく言います。
古い話で申し訳ないのですが、昔、ピッチャーに江川卓っていう人がいたんです。僕も現役の頃を知らないのですが、高校時代が一番すごかったそうで、江川氏が本気を出せば、相手打者のバットにかすりもしない剛速球を投げていたそうです。
ですが、この江川卓氏。プロに入ると7番打者とか8番打者とかによくヒットやホームランを打たれます。ただし4番打者との対戦のときにはギアをあげて全力で投げて抑えていた。つまり、7番打者や8番打者には本気を出して投げていなかった、力をセーブして投げていたというわけです。
当時はこれを「手抜き」と言われ、批判されていたのですが、1回から9回まで全力で投げると体力がもたない。それで、力を抜ける場面には力を抜いて、ここぞという時には全力で投げていたのです。
全員を抑える事が目標ではない。勝つ事が目標なんですね。勝つための最短コースを探る。これこそが効率だと思うのです。
次にやるべきことをスケジューリング化することも大事ですね。うちの子は受験塾へ行っていましたが、スケジュールは先生なり親がたてていました。ただ中学に入ってからは塾へ通わなくなったので、自分でスケジュールを立てなければいけません。これも非常に良い訓練だと僕は思っています。
大事なことは目標に向かって自分でスケジュールを立てられること。後は、目標に向かって自分がたてたスケジュールを実践していくことですね。
ストレスをためない
ストレスをたまったまま勉強するのも非効率な勉強法だと著者はいいます。
僕も娘たちに「眠たかったら寝なさい」といいます。眠たいのに無理やり勉強したって頭の中に何も残らないからです。
楽しみの誘惑もストレスの1つなんだそうです。そう「スマホ」です。東大医学部で司法試験にも一発合格した著者でさえ、スマホの誘惑に悩まされていたというのですから、スマホの魔力とはよほどのものです。
著者は、スマホを家に置いて、カフェなどで勉強したといいます。スマホがないのは仕方がないと割り切って勉強できたとおっしゃっていますが、とてもよい方法だなと思いました。
まとめ。シンプルな勉強法を読んでわかった!勉強は効率である
勉強を1日10時間しても、次の日は全くしない。これが一番よくない勉強法だと、僕の大好きな本「身の丈にあった勉強法」の中で、京大卒の宇治原氏も同じことをおっしゃっていました。
これでは勉強は効率的とはいえませんし、すぐに記憶から学んだことは消え去っているでしょう。結果、テストも良い点がとれず、勉強は楽しくないものだとインプットされる。
数学がどうしたらできるようになるのか、英語はどうしたらできるようになるのかを懸命に考えるのも大事ですが、なぜ勉強ができないのか、本質を突き詰めると、効率的に勉強ができていないのだと気が付きます。
河野氏のようにまるでゲームのように、勉強の効率化を考えられるようになれば、きっと「できるループが回り」、結果、成績もよくなるはず。
常に全力というよりも効率を考えられるのが、勉強ができるということなんだなと本書を読んで学びました。
本書には、勉強のテクニックなども多少書かれてはいますが、様々な勉強の効率化のコツが書かれています。勉強はテクニックよりも効率!それはテストや受験だけじゃなくて、生涯役立つもの。子どもにもぜひ学んでほしいなって思いました。