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「子ども3人以上で大学無償化」は少子化対策になりうるか?

子ども3人以上で大学無償化はありかなしか?

先日、政府が子ども3人以上で、大学を含む高等教育を無償化にする方針を固めたというニュースが飛び込んできました。

このニュースは非常に多くの関心を集めトレンド化。様々な意見が飛び交っています。しかし

  • 「子ども3人以上でないと無償化にならないのは不公平だ」
  • 「この施策後、子どもを産んで大学に入るのは18年後。財源も含めてこの制度が18年後も存在しているのわからない」

等と否定的な意見のほうが多い。

ちなみに我が家は子どもが2人。3人欲しかったですが、子どもに十分な教育を受けさせてやるためには2人が限界だと思い、3人目は諦めました。なので、この制度の恩恵を受けることができません。

それでもです。

少子化対策として、子ども3人以上で大学無償化はやってみるべきだと思っています。その理由について今日は書いてみたいと思います。

※追記。子ども3人以上で大学無償化の具体案が示されました。その案を見てがっかりしましたので、今は反対といいますか、効果に期待できないという結論になりました。

目次

なぜ、子ども3人以上で大学無償化なのか?

これは合計特殊出生率をあげる施策。

なぜ、子ども3人以上で大学無償化なのでしょうか?

おそらくその根拠となっているのが、合計特殊出生率から考える少子化の原因と対策です。下記記事がとてもわかりやすい。

人口を維持しようと思うと、合計特殊出生率2が必要ですが、記事によると、日本の合計特殊出生率は、2015年まで1.94だったのが、2020年で1.34まで低下。結婚した世帯でもつ子どもの数は今も昔も平均して2人とそこまで落ちていないにも関わらず、合計特殊出生率が下がっている原因が、生涯未婚率の上昇です。そもそも結婚しない人が増えてきたということになります。

では、合計特殊出生率を増やそうと思うとどうすればいいのか?

合計特殊出生率=(1-生涯未婚率)×有配偶出生数

で表すことができるので、未婚率を下げるか、1世帯あたりの子どもの数を2人以上に増やすかの2通りになります。

どうすれば合計特殊出生率はあがるか?

1.未婚率を下げる

1つ目の未婚率を下げる対策について考えてみます。

例えば、今生涯未婚率が35%だとすると、それを20%に下げる施策に成功したとします。すると、(1-0.2)×2人=となり、0.8×2=1.6となります。しかし、未婚率が20%に落ちたとしても合計特殊出生率は1.6が限界です。

2.子どもの数を増やす

一方で、子どもを持つ数の平均を3人に増やす方法について考えてみます。

未婚率はそのまま0.35であっても、有配偶者が持つ子どもの数が3人に増えると、合計特殊出生率は(1-0.35)×3=1.95に跳ね上がります。平均で3人はなかなか難しいですけど、若者がどうやったら結婚するのか具体案も出ない中で、有配偶者をあげる施策のほうが、少しは少子化対策になるのではという考え方は一理あるなと思いました。

だから、今回政府は、有配偶者が持つ子どもの数を増やす施策を、少子化対策にしたのだと思っています。

子ども3人以上で大学無償化で合計特殊出生率はあがるか?

結果はどうなるかわかりませんが、僕個人的はは、合計特殊出生率は少しはあがるのではないかと思っています。

上述しましたが、結婚をしている家庭は今も昔も子どもは平均2人は作っている。我が家もそうですが、一人っ子は寂しいだろうからもう1人兄弟姉妹を作ろうという昔からの考え方もあると思いますが、とにかく今も昔も有配偶者が持つ子どもの数はあまり変わらず大体2人になっているという統計が出ている。1

でも、3人目は作らない。これはやっぱり経済的に2人が限界だからという理由が大きいと思います。でも3人作れば、3人目だけじゃなくて、1人目、2人目も子ども全員の教育費が無料になるのです。だったら3人目を作ろうと僕はなると思います。

だから3人作れば、全員教育費無料施策なんだと思います。

そしてこの施策は、3人作った家庭限定の施策なので、財源もその3人作った家庭のみに適用されるので限定的。そんなことも考えられているのだと思います。

勿論、不公平感は満載です(苦笑)

うちだって子ども2人。もう3人目は作れそうにありませんし、すでに3人分の学費を払った後のご家庭もあるし、子どもがそもそもいない方の税金を投入することにもなります。

確かに不公平ですが、そんな事を言っていたら、いつまでたっても少子化は止まらないでしょう?と僕は思います。

3人以上で大学無償化に問題点はないのか?

ということで、僕は基本的に子ども3人以上で大学無償化については賛成です。ですが一言申したい気持ちがないわけではありません。

下記記事で言われているとおり、この施策は少子化対策、子育て支援というよりも、大学救済なのではないか?という点です。これについては僕もモノ申しておきたい。

無料だからという理由だけで、勉強が好きでもないのに大学に行く。そんな子が増えそうな気がします。それを我々の税金で賄うというのはいかがなものか?とはさすがに思うのです。

以前からブログに書いていますが、大学無償化をするにせよ、大学の淘汰は必須ではないかと思っています。

もう大学に進学することだけに意味がある時代は終わっています。僕は「教育無償化は投資」だと考えてほしいと言っているのですが、さすがに「大卒」という資格を得るためだけの進学に投資するのは無駄だと思っています。

3人以上の大学無償化は、子どもがいない人、もう子どもの学費を払った後の人、子どもが1人、2人の人にとって不公平な制度なんですけど、それを強引にやるのであれば、同時に大学の整備はしっかりして、しっかりと学生にリターンができる大学以外は淘汰する必要があると思います。

最近は定員充足率が50%をきっていると学部の新設が認められない2など厳しさを見せてきている文科省ですが、大学無償化を進めるならばよりいっそう、大学の精査は厳しくしていってもらいたいものです。

大学無償化が、かえって少子化となるケース

少子化の一つの要因として高い進学率もあげられています。

女性の社会的地位もあがり、結婚以外にもたくさんの選択肢が選べる時代になりました。これ自体は素晴らしい事だと思うけど、国が豊かになればなるほど、少子化にふれていく。これは日本だけでなく、世界の先進国をみてもその傾向はあります。3これはいい悪いの問題じゃなくて、少子化の1つの要因であるのは間違いなさそうです。

だから僕は、みんながみんな大学に行かない事が少子化対策になると真剣に思っています。

勉強しなくても行けてしまうような大学は淘汰すること。これも大事な少子化対策になる。遊んで大学の4年間を過ごす。そうすると普通に考えて大学4年の間は結婚しないわけで結果、婚期は遅れることになります。高い大学進学率は、そういう意味でも少子化にもつながっていると思います。

まとめ。大学無償化で少しは成果はあがるだろう。でもそれが子どもの幸せに繋がるかどうかは別の話。

それでも、子ども3人以上で大学無償化。まずは第一歩。僕は何もしないよりはしたほうがいいと思っているし、また少子化対策としても少しは成果もあがるだろうと思っています。ですが、大学に行っただけで子どもの将来が明るくなるかといえばそれはまた別の話。

最近は、我が娘も大学に行かなくてもいいのでは?大学で学びたい事がないのなら大学に行くことは幸せの遠回りなんじゃないの?とさえ思ったりしています。

だから子ども3人以上で大学無償化という、子どもを大学に通わせることを前提とした表現には実は違和感があります。

大学無償化を前面に打ち出すのならば、大学の整備、淘汰は同時に進めてほしいと思います。僕も我が娘のために大学は無償化してほしいとか思った時期もありましたが、今の日本の教育システムで大学に行くのならかえって専門学校で手に職でも身につけたほうがいいんじゃないの?とさえ思ってきています。

子ども3人で大学無償化で大学に入学する子が増える頃には、大学の価値が大きく下がっている。もしくは大学へ行こうにも大学淘汰が進んで簡単には入れなくなっている。そんな可能性もありそうです。

今回の無償化は大学に関わらず、専門学校なども対象にはなるそうですが、いずれにせよ国力をあげるには子どもの数を増やす施策だけでなく、教育の質もあげていく事を同時に議論してほしいなと思います。

2023/12/11追記。扶養が外れると対象外?3人以上で大学無償化は愚策だった!

2023/12/11。続報があり、多子世帯の大学無償の詳細が判明しました。

残念ながら愚策でした。。。

3人子どもがいれば、シンプルに全員教育費無償化であれば、僕は効果があっただろうと思います。ですが、

第1子が扶養から外れると、扶養する子どもが2人となり、第2子と第3子は対象外となる

というのであれば、子ども3人で教育費無料!という思考回路になりません。

扶養が外れたら対象外。。。ひょっとしたら全員無償にならないかも?と考える時点で、子ども増えないですよ、きっと。異次元の少子化対策というわりに、内容が中途半端、ケチすぎる。。。

こういった制限付きの無償化では、きっと少子化は改善しないだろうな~。

財源に公的医療保険料?

そして財源です。

焦点は、公的医療保険料に上乗せ徴収する「支援金」の個人の負担額に移る。平均で月500円と見込むものの、一人一人の具体的な金額は示していない。

東京新聞 TOKYO WEB

とあります。これが本当なら、今収めている税金では物足りず、さらに個人に負担を強いることになります。最近は、行政改革の声も全く聞かれず、何かあれば国民の税負担。

以前記事を書いたのですが、教育費無料は賛成であっても、財源は行政改革でねん出してもらわないと困ります。未来の子どもの為に。といって、例えば高齢者の医療費などを削減する。一見よいアイデアのように思うかもしれませんが、忘れてはいけないのは、いずれ我々も高齢者になる。ということです。

なので本当に今集まっている税金だけで、教育の無償化ができないのか、財源確保できないのか4については、もう一度しっかり議論していただきたいなと思います。

  1. 女性は一生で何人の子どもを産む? ↩︎
  2. 文科省、学部新設の基準を厳格化する方針を示す ↩︎
  3. 世界の出生率最新ランキング ↩︎
  4. 橋下徹×泉房穂 前明石市長「増税不要!」少子化政策に強烈ダメ出し ↩︎
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