教師の労働環境の過酷さがクローズアップされるようになりました。それにともない、学校の先生になりたいという人が少なくなり、どの自治体も教員の確保に苦労している。1
ならばと、教師の働き方改革といって、教員の給料をアップする、いやいや教師の無制限の残業を減らすのが先だと色々な意見が飛び交っています。
結論からいうと、僕は給料アップよりも無制限の残業を減らすべきだと考えます。その理由について今回は書いてみたいと思います。
文科省が提言する教師の働き方改革とは?
まず国の動きから見てみます。
現在文科省から提言されている主な改革案は、
- 公立教員の給与について残業代を払わずに一律で月給の4%を上乗せしている分を少なくとも10%以上に引き上げる
- 11時間の「勤務間インターバル」の導入
- 教科担任制の小学校3、4年生への拡大
などが提言されています。
特に定額働かせ放題と揶揄される無制限の残業については、きちんと働いた分だけ残業代をつけるべき等、議論が行われています。
働き方改革は、学校教育改革
僕はどう思うか?きちんと働いた分だけ残業代を払うようにしたほうがいいと思います。そして、出来る限り、教師の仕事を分業し、残業をなくす方向に進むべきだと考えます。
以前ブログに不登校の対策を文科省が頑張ってくれてはいるものの、公教育だけでやるのはもう限界だと思っていると書きました。
ただでさえ、英語教育やEdtec、さらに探究授業など新しい教育が増え、加えて不登校対策。もう先生はいっぱいいっぱいだと思います。
一方で、これらを先生方に任せても、授業は中途半端なものにしかならないという思いもあります。
親だって学校の授業、例えば英語やプログラミング等は学校で習う内容は、中途半端な内容だとわかっているから、プロに任せようと塾へ行かせるわけです。
「勉強しなければだいじょうぶ」の著者・五味太郎氏も、学校教育の授業は全て中途半端だから、一流を学べる環境を義務教育とは別に用意すべきだとおっしゃっていましたが、まさにそのとおりだと思います。
つまり、学校の先生は、英語のプロでもなければ、プログラミングのプロでもない。部活の顧問だって、きっとその道のプロでない先生がほとんどでしょう。
先生も高齢化していていると聞きます。年取ってから英語がプロになれるか?プログラミングが覚えられるか?Edtecを使いこなせるか?考えてみても、とても難しいと思います。
だからこそ民間のプロに任せられるところは任せて、学校の先生は本来の仕事に専念すべきだと思います。
先生の役割は将来的に変わっていく
通信制高校であり、ネットの高校であるN高等学校は、生徒数が2万人を超える日本一生徒を抱える学校です。生徒数が多いこともありますが、ここは担任の先生が全てを担うのではなくて、分業制になっているそうです。
世の中が多様化していきているのに、1人の先生が担任だからといって全て担うのはもう限界があります。分業し、プロの分野はプロに委託していく。これが一番いいと僕は思います。
Edtecの導入で、先生の役割も変わってくるといわれています。
今までは、先生が黒板に書いた内容を生徒が写し覚えテストを受けるという授業がほとんどでした。ですが、一人一人生徒の理解度が違うわけですから、一律同じ内容の授業をするのではなくて、一人一人パーソナライズされた授業を生徒に提供していくことが望ましい。
生徒一人一人の実力をAIが学習し、実力に見合った問題をAIが提案する。Edtecなら実現ができます。そうなると先生は授業で教えることが少なくなり、一人一人の生徒の様子をみて、時にアドバイスする。いわゆるコーチングという仕事になっていきます。
先生という職業は決してなくなりませんが、その役割はEdtecにより大きく変わる可能性はありますし、授業だけの話でいえば準備しなければいけないことも減っていくことでしょう。
教師の働き方改革は、学校教育改革DX化を活用すべき
話を戻します。先生の働き方改革で、今の文科省の提言は、先生で全て公教育をカバーすることが前提になっていると思うのですが、そうでなくて、委託できることは民間に委託していくという形で、先生の仕事の量を減らしていく方向に進めていくべきだと提言したいです。
残業代は、働いた分だけ支払い、それと同時に委託できる仕事は民間へ委託し、業務を分業していく。少子化もあって学校の先生はなかなか集まることはこれからもきっと難しいのでしょう。であればなおさら学校のDX化を推し進めていく方法にしないと、この問題、いつまでたっても解決しないのではないか?と僕は思います。
教師の働き方改革は、木を見て森を見ていないように思えてなりません。文科省が全てやるのではなくて、任せられるところは任せていく。そういう考え方がまず必要だと思いますね。