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褒めて育てるに疑問を呈した「伸びる子どもは〇〇がすごい」を読んだ。レジリエンスは大事な非認知能力。

子どもを「褒めて伸ばす」そういう教育本はたくさんあります。ですが、子どもを厳しく育てる事を推奨した本はほとんど見られない。

世の中は

  • 「子どもを褒めて育てる」
  • 「子どもとは友達のような関係で」

という風潮です。

やっぱり、子どもって褒めて育てるのが良いなのだろうか?

そう悩んでいた時に偶然手にした本が、「伸びる子どもは○○がすごい」という本です。

目次

本書と著者のプロフィール

著:榎本博明
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榎本 博明氏

心理学博士。1955年東京生まれ。東京大学教育心理学科卒。東芝市場調査課勤務の後、東京都立大学大学院心理学専攻博士課程中退。川村短期大学講師、カルフォルニア大学客員研究員、大阪大学大学院助教授を経て、MP人間科学研究所代表。(著書発行時)

本書の要点ポイント(書評)

我慢することができない、すぐ感情的になる。こういった社会人が増えている。このルーツは、過度な「褒めて育てる」、「叱らない教育」で育った子ども時代にあるのではないかと著者はいいます。

本書では、今注目されている「非認知能力」を取り上げて、心の折れない心豊かな子どもを育てるヒントを示した一冊です。

頑張れない新人が増えている

頑張れない、我慢できない、注意に耐えられない若者が増えている。著者は本書でそう嘆いていらっしゃいます。

皆さんの会社ではそのような新人に思い当たる節はないでしょうか?

少し厳しく注意すると、会社を辞める、心が折れる。そういう若者が多いと、我々も敏感に感じて部下にきつく注意ができない。

「上司も新人の部下にものすごく気を使っているよね。」

本書を読んで僕も共感しました。

パワハラは絶対にダメです!ですが、乗り越えなければならない困難、理不尽な事が社会には絶対にあります。この困難に対して、幼い頃から叱られることに免疫のない若者は耐えることができない。全員が全員そうではないけれど、増えているように思います。

褒めて育てる、叱らない子育ての弊害

今の学校教育は、子どもたちを傷つかせないように気を遣う。本書では、運動会で順位をつけない事例を紹介されている。

「褒めて育てる」、「叱らない教育」によって

  • 「無理をしなくてもいい」
  • 「頑張らなくてもいい」

という風潮になってしまっている。ですが、これでは、挫折を子ども時代に経験することは難しい。

子ども時代に挫折や失敗を経験せず、社会で初めて経験する挫折。挫折の経験値が低いと耐えられず簡単に仕事を辞めてしまう。

自分たちの子どもがそうなってもよいのか?挫折を経験しない弊害は考えるべきだと思いました。

アメリカは褒めて育てるというけれど

アメリカは褒めて育てる。だから、自己肯定感が育つのだと、アメリカの教育を絶賛している本もたくさんあります。

確かに、アメリカは子どもにハグやキスしたり「i’m proud of you」と褒める。こんな風に子どもを褒めて育てている印象が僕にもありました。

ですが、著書で面白い国際比較調査*1が紹介されていたのでここで引用させていただきます。

親の言う事を素直に聞く事に期待する親の割合

  • フランス 80.1%
  • アメリカ 75.2%
  • 日本 29.6%

学校でよい成績をとることを期待する親の割合

  • フランス 70.1%
  • アメリカ 72.7%
  • 日本 11.9%

アメリカやフランスは褒めるけど、親が子に期待する割合は日本よりはるかに高い。言い換えれば、子どもによりシビアで厳しさを求めているといえますね。

よくよく考えてみたら、アメリカは簡単に解雇される社会です。Twitterやmetaでも業績が悪くなったら即解雇、それがアメリカです。

日本で解雇って言われたら立ち直れないレベルです。でもアメリカでそのたびに心が折れてては生活できないだろうと思うのです。だとしたら、アメリカの子育ては、決して誉めて育ててるだけじゃなく心が折れない教育もしていると考えるのが自然じゃないでしょうか?

早期教育は不要

小学校に入る前から、塾、習い事などスケジュールがぎっしり入っている子ども達もいます。筆者はこの早期教育についても本書で警鐘を鳴らしていらっしゃいます。

本書では、2000年ノーベル賞を受賞した経済学者ジェームズ・ヘックマンの有名な研究が紹介されています。「学力」の経済学など様々な教育本でも紹介されている有名な調査で、「ペリー就学前調査」といいます。

ペリー小学校付属幼稚園のアフリカ系貧困層の子ども達を対象として3歳から2年間、毎日午前中に幼児教育のプログラムや遊びを中心に教育を施した子と、全く教育に介入しなかったグループを調査した結果、教育を受けたグループのIQは、教育を受けた直後は飛躍的に伸びたが、8歳時点になるとほとんど差がなくなっていた。

しかし、この子ども達が40歳になった時、教育を受けた子の方が、高校卒業率や、収入、持ち家比率などいずれも教育を受けなかった子よりも高かったとしたものです。

この調査で、ヘックマンは乳幼児期に大事なのはIQではなくて、非認知能力だと結論づけている。

筆者は、このことからも早期教育に否定的なのですが、僕自身も同様に早期教育には否定的です。

習い事狂騒曲という本もとても参考になったのですが、子どもには自分で考える時間、創造する時間がやっぱり必要です。習い事も自分で好きなものを極めるまで努力できたらいいけど、3つも4つも親が用意したものをただこなしているだけでは、将来身につくものではない。

親が子どものためだと過度に教育を用意する弊害を本書でも考えさせられました。

今の子はレジリエンスが低い

非認知能力の中でも、本書ではレジリエンスについてページを割いて説明しています。子どもを褒めて育てるとか、叱らない子育てという本は多いのですが、レジリエンスについて書かれた本はほとんどないので、とても新鮮でした。

レジリエンスとは回復力、立ち直る力という意味であり、レジリエンスが高い子ほど、逆境に強かったり、諦めない心が身についている。GRIT(やり抜く力)と並んで、今一番注目されている力です。

↓GRIT(やり抜く力)については下記の本が参考になります。

今の若者はレジリエンスが低い。それは子どもを過度に褒めて育てる教育に問題があるのではないか?これが筆者の主張です。

これは本当だと僕も思います。

卓球界のレジェンド水谷隼氏の「打ち返す力」を読んでも思いましたが、あえて逆境に身をおいて、挫折をたくさん経験して一流になられている。

環境のせいにする人もたくさんいると思いますが、恵まれているから成功するのではなくて、逆に恵まれていないからこそ、その逆境をバネにして成功できるのではないかとさえ僕は思います。

芸能人でいえば、南海キャンディーズの山ちゃんもレジリエンスが高い。

著:山里 亮太
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本書では、山ちゃんのサクセスストーリーが読めるのですが、漫才やお笑いの天才の前に彼は何度も挫折をしている。でも、立ち直っては努力し、今の成功を手に入れている。

非認知能力を高める方法とは?

さて、これまでレジリエンスや非認知能力だと書いてきました。ところで非認知能力とは何なのでしょうか?

わかりやすくいうと、勉強以外の能力のことです。この非認知能力に、やり抜く力であったり、忍耐力であったり、立ち直る力だったりが含まれます。

では、この非認知能力ってどうやって育てたらいいの?って事が気になりますが、本書では、非認知能力を高める方法についても書かれていて参考になりました。今回は、中でも僕が印象に残ったものを抜粋して紹介したいなと思います。

1.親に求められる「待つ力」

親が何でも先回りしてやってしまう。それでは子どもに挫折を経験させてやることはできません。失敗してもいいから自分で考えて取り組むまで待つという事。

  • 一向に勉強をしない
  • 一日中、ゲームばかりしている

親は心配で仕方がありません。ですが、結局ここで手を貸してしまうと、親がいないと何もできない子に育ってしまう。

それで失敗するかもしれないけど、その経験を糧にできるのは、やっぱり学生ならではの特権だと僕も思うのです。

親に求められているのは「待つ力」だと著者はいいますが、まさにそうだと思いました。

2.失敗のすばらしさ、大切さを教える

島村 華子氏の「自分でできる子に育つ ほめ方叱り方」は、子どもの褒め方や叱り方について大変勉強になる本だと思います。

本書でも紹介されていますが、子どもを褒めるにも褒め方があって、能力を褒めるのではなく、努力を褒めなさいという話があります。

失敗をしても、その努力を褒めてやることで、子どもは困難に立ち向かえるというのです。

僕はよくマイケル・ジョーダン氏の

私は現役だったとき、9,000本以上のシュートを外し、300回くらい試合で敗れた。チームから任されたウイニングショットは26本外した。何度も、何度も、何度も、失敗ばかりくり返してきた。

でも、それこそが成功した理由だ。

を引用して子どもに失敗のすばらしさを教えています。

「失敗図鑑」には、偉人の失敗やエピソードがたくさん書いてあるので、これもよく失敗の大切さを語るときに使います。

失敗を恐れない子に育てるには、失敗を認めてやらないといけません。

3.共感性を高める

すべての悩みは、人間関係である。」すごく核心をついたこのフレーズ。これはアドラー心理学の考え方で、「嫌われる勇気」という本で学んだことです。

社会に出るとそれはそれは様々な人と付き合っていかなければいけません。それを全て避けていては世の中やっていけません。

そのために鍛えておきたいのが共感力だと著者はいいます。

共感力というのは、相手を思いやる気持ち。これって大事ですよね。勉強や習い事ばかりに力を入れて、人を思いやる気持ちが欠けるようでは本末転倒。

人の気持ちを汲むことができる子に育てるには、幼い子であれば、絵本を読んで、登場人物になりきって本を読んであげる事で子どもの共感力が育つというのは目から鱗でした。

まとめ 勉強よりも子どもの非認知能力を伸ばそう

本書はわかりやすくいうと、

最近、我慢ができない、心がすぐに折れる若者が増えている。小さい頃から過保護に育てられ、挫折を経験せずに大人になっている。勉強や習い事ばかりを頑張ってきて、非認知能力が育っていない。

このように、褒めて育てる、叱らない子育ての弊害を指摘した本です。

頑固なおじさんが書かれた本だなと思われる方もいらっしゃるかもしれません(大変失礼な言い方で申し訳ないです)が、とても的を得てると思いましたし、現在の教育に警鐘を鳴らされている素晴らしい本だったと思います。

僕は50冊以上、教育本や子育て本を読んできました。最初は、どうしたら難関大学に子どもが進学できるのか、こういった事を知りたくて読み始めたと思います。

ところが本を読めば読むほど、勉強よりも大事なことがある。むしろ、人として素晴らしい子を育てたいと思うようになりました。

勉強以外のこと。それを非認知能力といいました。非認知能力が将来、何に役に立つの?と思うかもしれませんが、

大リーガーの大谷翔平選手の、グランドやベンチのゴミ拾いをする姿を思い出してほしいです。

大谷選手はこのゴミ拾いを「人の捨てた幸運を拾っている」と考えているそうですが、ゴミ拾いも勉強ではない、非認知能力といえると思います。

非認知能力が高い人が結果、素晴らしい人格者になっている好例ですよね。こういった素晴らしい子どもに育てたいなと本当に思います。

子どもが大きくなればなるほど、教えられる事は少なくなっていくのですが、子ども達が僕の元を巣立つまでは、非認知能力を伸ばすために、口酸っぱく言い続けたいなと思います。

そう伸びる子は、非認知能力がすごい!

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