大阪府の高校無償化がいよいよ段階的にはじまります。3/11に大阪府の公立高校の受験がありましたが志願者が昨年より2000人減ったそうです。平均倍率は1.05倍。定年割れになった高校は前年度より18校増えたのだそうです。
公立高校の出願者が減ったのは、私立高校の完全無償化の影響だという声も多く、なぜ私立高校まで無償化にしなければいけななかったのか?というような否定的な意見も多くありました。
これに対して吉村知事も、公立高校の志願者が減ったのは私立高校無償化が多少影響している事を認めた上で、より公立高校の魅力をあげていく必要があると述べられていました。1
僕はこのニュースを見て、逆に吉村知事の改革はいい方向に進みそうだなと改めて思いました。その理由について、また公立高校はこのままでは志願者はずっと減っていくのではないかという公立高校の危機について、今日は書いてみたいと思います。
大阪府の高校無償化の影響という単純な話ではない
私立であれ、公立であれ、授業料が無料になるというのが、大阪府の高校無償化です。実際に高校生の子どもをもつ親御さんにとっては本当にありがたい施策だと僕は思いますし、色々な問題点もあるでしょうけど、吉村知事の実行力というのは素晴らしいと賞賛したいと思います。
本来、年間60万円という高額の授業料が必要だった私立高校に無償で行けるというわけですから、設備も整っていて、独自の魅力的な教育や部活も活発な私立高校に通わせてやりたいというのが親心でしょう。
今回、公立高校の志願者が減ったというのは、私立高校へ出願が流れたというので間違いないだろうと思います。
実は公立高校の志願者が減ったのは単に私立高校への志願者が増えたからという単純な問題ではないと僕は思っていて、それは何かというと、中学受験で私立の中高一貫校を受ける生徒が増えて、そもそも高校受験をしない子が増えていくと予想しています。実際、今年も少子化で全体の生徒数は減っているにも関わらず、中学受験をした生徒は大阪と京都で受験者が約200人増えて、中学受験率も10.17%に上昇している。2
高校が無償なのであれば、中学で多少お金をかけても大丈夫だと考える親御さんはきっと多いはずで、環境の整っている中高一貫校への出願は、今後、益々増えると僕は予想しています。
私立高校が無償化だからといって全てが無償ではないが。。。
ただし、注意しなければいけないのは、高校の授業料が無償だといっても、その他の費用は別途かかるという点です。例えば、私立高校だと修学旅行も海外へ行ったりと高額になりがちですし、その他の設備費も多くとられます。
我が家の長女は特待生で私立中学へ行きましたが、確かに授業料は無料でしたが、他設備費で結局、授業料くらいの金額を払っています。
なので、高校無償化だからといってお金がかからないという発想は、特に私立高校へ進学される場合は注意が必要です。
堀川の奇跡。公立高校もやれば出来る
とはいっても、私立高校へ進学すれば、設備から何から何まで公立高校よりも整っているのは確かだと思います。そう思うと、公立高校は不利だし、生徒数が減るのもやむなしという同情の声もあるのかもしれません。
しかしです。
僕は今こそ、公立高校の改革を進めてほしいと切に願っていますし、むしろ私立高校無償化で危機感をもった公立高校は復活のチャンスではないかと思っています。
少子化で生徒の数は年々減っていくのは間違いない。しかも、先にお話ししたとおり、高校が無償なら私立の中高一貫校へ進学させたいという高校受験回避組も増えていくと予想されます。
このままでは公立高校を志願する生徒はどんどん目減りしていくでしょう。魅力ある公立高校に改革していかないと、今後、公立高校はなくなっていくといっても過言ではないと思います。
生徒が減っているのだから、公立高校は統廃合していき、質のいい先生を質のいい公立高校に集中していくのも一つでしょう。例えば京都は、堀川の奇跡といった言葉で表現されますが、普通の公立高校が京大合格者数を多く輩出する公立高校になったという例があります。3
そういう事例もあるのですから、本気で取り組めば、公立高校が復活することは十分可能です。
遅かれ早かれ、このままでは公立高校の志願者は減っていく
努力をしないでも生徒が集まってきた時代ではないのですから、いつまでも定員割れの公立高校を学校や大人の都合で統廃合しないで残しておいても、遅かれ早けれ淘汰されていきます。
僕は公立高校には大いに期待しているのですが、「公立だから」という理由で、縛りや規制が多すぎると感じています。その結果、生徒に選ばれない学校にどんどんなっているのが、現状の公立学校であるように思います。
多様性を認める通信制高校が今や躍進し、通信制高校に通う生徒数も2023年度過去最多。4生徒の奪い合いは今や私立高校とだけの競合ではなくなっています。吉村知事が高校無償化を進めようが進めまいがいずれ、高校の淘汰の時代はやってきていたと思います。
むしろ吉村知事が高校無償化を早々に打ち出したことで、問題が早期に顕著になり、公立高校は今から対策をうつことができてよかったのではないかとさえ僕は思います。
今が公立高校の踏ん張り時であり、改革の時である。大阪の教育無償化はそれを改めて教えてくれたと思います。