中学受験をするときに、学校説明会によく伺いました。
中学受験とはいえ、ほぼすべての中学校が中高一貫校であったため、説明会では大学進学の話もよく出てきていました。
多くの進学校は、我が娘の学校もそうなんですが、大学を自力、いわゆる一般入試で勝ち取らないといけないのですが、
中には、中高の途中でクラス変更ができる学校があり、進学コースから少しゆるいクラスへ変更が可能という学校があります。
やや勉強がゆるいクラスには、一般入試を受けなくても学校の成績や論文などで入学できる指定校推薦がたくさん用意されているケースが多い。
中堅校の多くにそういった制度が充実していて、中堅校はそれをもって、大学実績を稼いでいるところも多いです。
指定校推薦とは何か?
改めて大学の入試は、一般入試以外に、
- 学校推薦型選抜
- 総合型選抜(旧AO入試)
といういわゆる「推薦入試」があります。
指定校推薦は、学校推薦型選抜の一種で、大学側が高校に対して、推薦入学の枠を設定している制度で、一般入試が学力を問う入試であるのに対して、現行の推薦入学は、学校の成績や面接、小論文などで主に合否が決まります。
高校側は、一定数の卒業生を有名大学へ送り出すことができるため、大学進学実績を作れるというメリットがあります。一方で、大学側も、一定数の優秀な生徒を早期に確保できるメリットがあります。
親としても、一般入試の合否にドキドキするより、推薦入試で早くに合格が決まってくれるとそれはそれは安心しますし、メリットがあります。
ですが、この制度、肝心の子供にとって将来のためになっているのでしょうか?
指定校推薦で入学した子の学力低下問題
今や、こうした推薦入学で私立大学へ入学した割合は、2020年入学者のうち、56.5%にも達しています。(文科省調べ)
ですが、こうした推薦入学を利用して早々と合格を勝ち取った子は、その後、往々にして勉強をしないそうです。
↓指定校推薦組、授業中に寝てる子も・・・
このことは、立命館小学校2代目校長で世界に通ずる「辞書引き学習」の生みの親である深谷圭助先生の著書
「子どもが自ら考え、動き出す。学ぶ環境の作り方」という本の中でも問題提起されておられます。(この本は、子供の自学力を伸ばすうえで非常におすすめです)
なぜ指定校推薦で合格した子は勉強しないのか?
深谷先生は著者の中で、
未だに日本では、受験が学びに対する最大のモチベーションであり、受験がなければ、または受験科目が減少すれば、勉強しなくなるのです
と言われています。
つまり受験のため、大学に受かるためだけに勉強をしているから、その受験がなかったら(推薦入学できるのなら)、勉強しない。
それだと当然、大学入学後も勉強はしないわけで、結局、卒業時に自分が何をしたいのかわからない子が多いと言うのです。
これが本当なら、大学に行って何か得られるものがあるのでしょうか?
大学に何を学びに行くのかわかっている人に大学の価値がある
大学は「学びの専門学校」だと思っています。ですが意外と大学の学びが将来の職業にどう繋がるのかわかりにくい。
それでも
- 「経済学部に行って将来何になりたいの?」
- 「文学部で何を学びたいの?」
と聞いて、明確に答えられる子に大学の価値はあります。
一方で、料理が好きで、料理をとことん追求したい子が料理の専門学校に通うのも価値があります。
大学へ行ったから、価値がつくというわけではありません。
学校推薦型選抜(指定校推薦)は悪か?
僕個人的には今の学校推薦型選抜(指定校推薦)は反対です。総合型選抜(旧AO入試)は大学のアドミッションポリシーをよく読んで志望理由を決めるのでしょうから、僕はいいと思っていますが、今の学校推薦型選抜(指定校推薦)は子どもの為にならないだろうなと思っています。
少なくとも、その学部で勉強する上で必要な基礎学力は問うべきです。
早慶などの難関大学はAO入試に力を入れているようで、その中身も相当難しくなったようですが、これが自然な流れでしょう。
なりたい自分になるために大学に通うべき
現行の推薦入試のほうがきっと楽ですが、きっと推薦入学は見直されることになるでしょう。娘にとっては、厳しい受験になると思います。ですが、楽して受かっても、そこに学びのモチベーションがなければ、その進学に意味はないといってもいい。
僕は親としてどうするか?
大学では何を学ぶのか?中学の頃から調べておくことを娘に提案しています。大学で何が勉強できるのか?これって結構調べないとわからないものですから、大学で何が学べるのか知っておくといいですね。
もちろん大学進学をしないという選択があってもいいです。なりたい自分になるための学びは、大学でなくてもできる場合があります。
難しいけど、大学進学の頃までに、なりたい自分を一生懸命、見つけてほしい。それが僕の願いです。