「教育激変」や「10年後、君に仕事はあるのか?」を読んで、本当の大学入試改革が我が子の入試の時、ドンピシャでやってくると直感しました。
今までの知識詰め込み型の大学入試ではなく、「思考力、判断力、表現力」を問う問題へ徐々に移行していき完全に移行されるのは、ちょうど我が子が大学を受けるときだな。そう思っています。
もしそうなれば今頑張っている学校の勉強。または塾や通信教育では通用しないかもしれない。なら、思考力、判断力、表現力を問う問題に対応するにはどうしたらよいのか?
小学生や中学生の子どもを持つ僕としては、これから大学入試がどう変わっていくかが今の関心事です。そこで今回手にした本が、「いま知らないと後悔する2024年の大学入試改革」です。
本書と著者のプロフィール
石川 一郎氏
「聖ドミニコ学園」カリキュラムマネージャー、経済産業省「未来の教室」教育コーチ(2019年度)、知窓学舎カリキュラムマネージャー、「アサンプション国際小・中・高等学校」教育監修顧問。「21世紀型教育機構」理事。1962年東京都出身。前かえつ有明中・高等学校校長(著者発行時)
本書の要点ポイント(書評)
本書を開けると、見開きカバーにいきなり
- 大学入試改革で有利になる子、不利になる子はここが違う!
とドキッとするキャッチフレーズが書かれています。まさに僕が知りたかった大学入試改革の中身がわかるのが本書です。
2020年 新学校指導要領が発表され小学校~大学まで日本の教育の大改革がはじまりました。
新学校指導要領は、
- 実際の社会や生活の中で生きて働く「知識及び技能」
- 未知の状況にも対応できる「思考力、判断力、表現力等」
- 学んだことを人生や社会に生かそうとする「学びに向かう力、人間性等」
を育むことを目的として、まず小学校からスタートし、2021年に中学校、そして2022年高校と新しいカリキュラムがスタート。
本書のタイトルにもある「2024年の大学入試改革」というのは、2022年から高校でスタートした新教育を3年間受けた子が最初に受けるテストが、2024年度ということからこのタイトルになっています。
本書は、これから新しい教育を受ける小中学生の子どもを持つ親御さんに向けて、これからの教育や大学入試について書かれた一冊で、必読です!
なぜ大学入試改革が先行したのか?
大学入試改革元年の大学入試共通テストの混乱ぶりはニュースでたびたび報じられました。僕は、思考力や判断力、表現力というのならば、まず、小学校、中学校、高校それぞれで、その授業を受けてから大学入試改革ではないのか?と疑問を呈しました。
ですが、今回の大学入試改革については、文科省の本気が入っているのだと筆者はいいます。どういうことというと、
大学入試が変わらなければ、大学に入るためにする勉強(小中高)が知識偏重型でいつまでたっても変わらない。
というのです。だから大学入試改革を先行してでもやっている。実は「教育激変」の著者・池上彰氏や佐藤優氏もこの大学入試共通テストを一定評価されていたのですが、なるほど。確かにここに文科省の本気が入っているなと僕もようやく腑に落ちました。
これからは総合型選抜(旧AO入試)が主流
ところで、現在の大学は僕らのように純粋に学力テストで入る、いわゆる一般入試での入学者は50%ほどしかいません。残りの50%は、学校推薦型選抜(旧指定校推薦)、総合型選抜(旧AO入試)が占めています。
ところがです。こういった推薦で入学する子が、「大学の授業についていけない。」等の問題が浮き彫りになってきました。
Yahooニュースなんかを見ても、学力テストで入学した子と、推薦入学した子の学力差を指摘するのが目に付きます。ですが、ことAO入試については誤解があることを本書を読んで学びました。
AO入試なら大学に楽に入れるという誤解
総合型選抜(旧AO入試)は、大学のアドミッションポリシーと合致した「大学でこれを学びたい」と明確な意思をもった子を採用する入試方式で今後伸びていくといわれています。このAO入試を日本で初めて導入したのは慶應義塾大学です。
ところが、一芸で入れる入試をAO入試とうたう大学が増えてきた。例えば、亜細亜大学のけん玉日本一の方が一芸で入学された例です。
亜細亜大学の一芸一能推薦は、けん玉日本一や、魚を三枚におろして合格とか団塊ジュニアの入学困難の時だったから話題になったな〜
金魚すくいで “一芸入試” 全国大会 好成績で大学合格は初 | NHKニュース https://t.co/0sPC2VtpPH
— para080 (@para080) 2019年12月22日
本来、偏差値重視の入試を打破しようと導入されたはずのAO入試が、徐々に「学力を問われず楽に入れる入試」といった誤解を生徒や親御さんに生んでしまったと筆者は指摘します。
僕も本書を読むまではAO入試は、学力を問わず楽に入学できると勘違いしていました。
が、実際は違いました!
慶応義塾大学のようなアドミッションポリシーと合致し、「この大学で学びたい」という意欲を測る総合型選抜入試なら僕は大賛成です。そこにはもちろん、大学での勉強に十分ついていける基礎学力をテストで測ることも忘れてはいけません。
僕個人は今後は、学力不要の推薦入試は段々減ってくる。特に難関大学になればなるほど総合選抜型の採用が増えてくると予想しています。またそうでないといけないと思っています。
なぜなら、大学が欲しがっている学生は、「この大学でこれを学びたい」という意欲ある学生に他ならないからです。
教育大改革の課題とは?
思考力、判断力、表現を力を身につけるには訓練が必要
これからは知識の詰め込みではなく、「思考力、判断力、表現力」を身につけないといけないとよく聞きます。そのための教育大改革であり、今回の大学入試改革です。
ですが、こうした思考力や判断力を身につけるには訓練が必要だと筆者は指摘します。
筆者によれば、アメリカでは、ファクト(事実)とオピニオン(意見)を見分ける訓練を小学生の頃から受けている。また表現力についても、アメリカではファイブプラグラフエッセイというのがあって、意見をわかりやすく伝える手法を学ぶのだそうです。
僕はブログで何度も指摘していますが、「思考力、判断力、表現力」を育てるのは大いに賛成なのですが、やっぱりこれをするには、アメリカじゃないですけど、幼い頃からの訓練が絶対にいるなと本書を読んで改めて思いました。
学校教育が新学習指導要綱に対応できていない
僕が直接授業を受けているわけではありませんが、娘たちのテストや宿題をみていても、思考力、判断力、表現力を鍛える訓練が十分にできているとは思えません。
その背景に、学校の先生の長時間労働を著者は指摘しています。
僕も一社会人なのでわかりますが、これだけ時間に追われていれば、教育改革どころではない。という声が現場ではあがっていそう。
しかし、それではいつまでたっても知識偏重の勉強は変わらない。だから文科省は大学入試改革を強引に進めたのかもしれませんね。
だから学校が変わらなくても、大学入試は確実に変わる。僕は本書を読んでそう確信しています。
これからは、勉強の形もガラッを変わる
このように思考力、判断力、表現力が重視されるようになれば、家庭学習も変わっていくでしょう。
著者は、小学校のうちは
楽しく勉強したら別だけどそうでない場合は、宿題をやっていればいいよくらいがいい
とさえおっしゃっている。
近い将来、今までのような詰め込み型の進学塾に通うことはあまり意味がなくなってくるだろうし、中学受験も偏差値重視で難関中学を目指すというのも減ってくると思います。塾は塾でも探究塾が伸びてくるかもしれませんね。そう未来は確実に変わっていく。
↓ 勉強ができる事が子どもの幸せという昭和型の価値観は古くなる
子どものうちは好きや得意を伸ばす。もちろんそれが職業になるとは限らないのですが、小さい頃の得意や好きが以外と仕事に役立っている事ってあるんですよね。だから子どものうちはそういう体験をどんどんさせてやったほうがいいと僕も思います。
ただし好きだけではご飯を食べていけないわけですから、その好きな事が、社会で役立つかを考えるようにしたい。それはやはり大人が導いてあげるのがよいとも著者はおっしゃっている。
僕自身も、子どもが好きな事や夢中になっている事に対して
- それが誰かに役立つか考えてみて。
- 誰かを喜ばせられるか考えてみて。
と常に問いかけています。人を喜ばすことができてその対価としてお金がもらえるのですから。
まとめ 今後は総合型選抜入試が主流になる!
現在、総合型選抜入試で入学しているのは全体の10%程度ですが、今後は間違いなく、総合型選抜入試が増えていくと思います。
ただ上述したとおり、今の学校の勉強はまだまだ知識を問う問題が大半を占めていると僕は思っていますし、理想と現実を考えると、急に学校が変わるとも考えにくい。これが日本の教育の課題です。
やりたい事、探究したい事を見つけるのはもちろん子どもです。ですが、例えやりたい事があったとしても、それをどう探究していくのか。そのやり方は、やっぱり訓練がないと身につかないし、それを教える先生も育ってないといけないというのは、多くの識者がおっしゃっているし、僕も完全同意なんです。
それでも!確実に大学入試は変わっていきます。そしてそうこう言っているうちに、主流は絶対、総合型選抜になる!(と予想しますが、外れたらすいません)
僕の意見はともかくとして、子どもの大学受験を考えていらっしゃる小中学生のお子さんを持つ親御さんは、大学入試について今のうちに絶対勉強しておいたほうがいいと思います。そのために本書は読んでおいて損はないと思います。