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「遺伝が9割」そして、親にできること レビュー。親が子どもに与えられる最高の贈り物とは何か?

遺伝が9割。そして親ができることは何か?

子育てを振り返ってみても、圧倒的に思うようにいかない事が多かったです。

「子育てに正解はない」といわれて、

「いやいや、子育て本を読んで勉強して子育てすれば、きっとうまく行く。」

と抗ってみたのですが、やはり昔からいうように、子育てに正解はなかったな~というのが実感です。

  • なぜ子育ては親の思いとおりにいかないのでしょうか?
  • なぜ子育てに成功したといわれる方の成功体験を読んでも同じように子どもを育てることはできないのでしょうか?

子育ては子どもの自己肯定感を育てるといいとか、勉強ではなくて、非認知能力を育てるのがいいとか、僕も本ブログで何度か紹介してきましたが、そんな理想的に子育てができていたら、今ごろ、本の一冊でも出しているんだけどな~(笑)と思うくらいです。

それで、なんで子育てって難しいのだろう?なんで子育てに正解はないのだろう?ということを科学的に説明できないかなとずっと思っていたんですけど、行動遺伝学という学問が、僕の疑問を解決してくれました。

子育てが難しいのは、子どもの行動に遺伝的要素が絡むからです。

今回読んだ、「遺伝が9割」そして、親にできること。という本も、結局そういう事が書いてある本です。今日はこちらの本を紹介してみたいと思います。

目次

「遺伝が9割」そして、親にできること レビュー

著者・ダニエル・ディック氏

ラトガース大学教授、心理学博士。インディアナ大学で心理学博士号を取得したのち、アメリカ国立衛生研究所の研究資金を獲得しながら心理学と遺伝学の境界領域の研究を続けて、数々の学術賞を受賞TEDx Talks、TIMEはじめ大手メディアのインタビューなど、広く一般向けの講演活動も積極的に行う。(著書より引用)

子育てはなぜ難しいのか?

それは、子育てに関するアドバイスが、遺伝子を無視しているからだと著者はいいます。子育ては親の教育が全て。そういうプレッシャーの中で、私たち親は子育てをしているように思います。またそのプレッシャーを全身に受けているのが子どもだと思います。

しかし、それでは子どもの本当の幸せには繋がっていかない。本書は子育ての核心をついていると僕は共感します。それでは少しずつ本書に書かれている内容を紹介していきたいと思います。

行動遺伝学という学問を知ろう

本書を読む前に、行動遺伝学という学問を知っておいたほうがいいと思います。僕はこの行動遺伝学という学問を知って、今まで非科学的だった子育てが、こんなに科学的に証明できるものなのかとその魅力に引きつけられ、行動遺伝学に関する本を読んできました。本書もそのうちの1冊です。

結論から言うと、遺伝の力というのは非常に大きいです。

僕らでも少し考えればわかることですが、大リーグの大谷選手のような子どもが、運動が苦手な親から生まれることはないし、東大生の子どもが、勉強が苦手な親から生まれる事もないといえば納得していただけるのではないでしょうか?

ただそれは何となくそうだろうなと思っていただけで、まさかこの事が科学的に証明されているとは思ってもいませんでした。それを科学的に証明、研究しているのが、行動遺伝学というわけです。

本書でも非常にわかりやすく行動遺伝学がいかに科学的に子どもの行動のほとんどが遺伝から成り立っているを証明しているのか説明されていますが、ここで少し本書の内容を紹介したいと思います。

行動遺伝学の研究で有名なのは養子研究と双子研究

養子研究は、実の親から離された子が親の影響をどの程度受けているかを調べます。本書の例を紹介すると、総合失調症という神経疾患の原因は、神経疾患を罹患しているひどい母親の育て方に原因があるといわれてきたそうです。ですが、総合失調症を罹患している親の元に生まれた子どもの17%が、(養子にでて)総合失調症の親との接触がないにもかかわらず、同じ疾患を発症していたことが判明したというのです。

これは自閉症も同じです。自閉症のほうがわかりやすいかもしれません。自閉症の子をもつ親は自分の育て方が悪かったと思うところがあると思いますが、自閉症は遺伝によるところが非常に大きい。こういった事も養子研究でわかります。

双子研究は、一卵性双生児と二卵性双生児を比べる事で遺伝の影響を図る研究です。全く同じ遺伝子を引き継いだ一卵性双生児と、平均して50%しか遺伝子を共有していない二卵性双生児では、あらゆる行動において、一卵性双生児のほうが似ていることがわかっています。

これらの研究からも、行動遺伝学においては、科学的に、遺伝の影響は育児方法(環境)の影響よりも大きいことを証明していると著者はまとめています。

子ども一人ひとりの気質を知ろう

大事なのはここからです。子どもは遺伝の影響を大いに受けている。けれど難しいのは、遺伝子は両親から受け継ぐものなので、父親だけ、母親だけの遺伝子ではないという点です。

極端ですが、父親が勉強好きで、東大出身で、ものすごく勉強ができる人、母親が勉強が嫌いで、ものすごく勉強ができない人だった場合、そのミックスされた遺伝子が子どもに引き継がれるのですから、必ず勉強好きの子どもになるかどうかはわからないのですね。

著者は、遺伝的な影響を受ける三つの特性(ビック・スリー)があり、子ども達は一人ひとり異なった気質をもっているといいます。

その三つの特性とは、「外向性」「情動性」「自制心」の三つなんだといいます。僕自身が共感しわかりやすかったのは、外向性についての説明でした。

生まれもって、外向性が高い子、つまりどんな人とも仲良くなれる社交性の高い子、それに対して、なかなか人とコミュニケーションがとれない子、これはもう子どものせいでも何でもなく遺伝によって引き継がれたものだというんです。

子どもがコミュニケーションが苦手な子で、僕は子育てで本当に悩みました。どうしたら社交性のある子に育てることができるのか、僕の育て方が悪かったのか?色々悩みました。

けれど、本書を読んで、「外向性の高い親から、外向性の低い子どもが生まれる事もある」ということがわかったし、「それは遺伝で決まっている事なんだよ」「子育ての方法は関係ないんだよ」と言ってもらえたような気がして、安堵しました。

子どもは気質にあった環境に身を置く事で伸びる

そしてここからが本書の核心です。

子どもは気質にあった環境に身を置く事で伸びるんだということです。

僕は子どもが学校になじめないという子どもにとっても、親にとってもつらい日々を過ごしました。社交性の高い子はいいでしょう。けれど、僕の子どものようなコミュニケーションが苦手な子もいるわけです。

なのに、社交性が必要な環境に身を置かざるを得なかった。これが子どもを苦しめたのだろうと今思います。学校になじめない子を持つ親は皆が皆一緒にという今の学校制度が嫌いだと思いますが、外向性の高い遺伝子を引き継いでいたら運がよかったかもしれませんが、そうでないと運が悪いと我慢しなければいけないのが、今の日本の学校。。。

もっと子どもが幼い頃にこの本に出会えていたら。。。もう少し子どもの事を考えてやれたかなと思いますが、今からでも遅くない。

子ども自らの気質に合う環境を用意してやること。これが、遺伝が9割。そして、親ができること。というタイトルに繋がっていくのだと理解しました。

まとめ。親が子に与えられる最高の贈り物は、子どもに気質にあった環境。

まとめになります。

本書の最終章では、下記のように著者は述べられています。

子どもの発達に関する文献には、「ほどよい」子育てという概念が登場します。私たちは親として緻密な子育て計画に従う必要はない。ほどほどでいいという考え方です。スーパーペアレントとして最高の子育てをしたところで、その子が最高の人間に育つとは限りません。

深い言葉ですが、刺さります。

遺伝が9割だと認めることができれば、私たち親が子どもにしてやったことで子どもの能力が開花することはないのだということが理解できます。

私たち親は子どもの幸せを願い色々子にやってやろうとします。しかしそれが親の理想であり、子どもが本来持っている気質と違うことであれば、子どもは幸せになれませんし、大きなお世話です。

それどころか、極端に言えば、親が理想とする子育てでは、子は育たないのです。

本書で、子どもが親の理想通りに育っている場合も、それはたまたた運がよかったのだと思うというのがあり、とても共感しました。親も当然、自分の親から遺伝子を受け継いでいて気質をもっています。親の気質(思う事)と子の気質がたまたまぴったりと合った場合は、親にとって理想的な子に育っていると思う事があるかもしれませんが、それはたまたま運がよかっただけ。これも僕の心をだいぶん楽にしてくれました。

最後にもうひとつ著者の言葉で響いた言葉を紹介してこのブログをしめたいと思います。

我が子に与えられる最高の贈り物とは、彼らを十分に解放し、本当の自分自身になれるようにすることと言えるでしょう。

そうなんです。子どもは親が子育てをしなくても育っていく。子どもに理想を押し付けるのではなくて、でも、だからといって親に出来ることが何もないわけではなくて、親は子どもの気質に合った環境を用意してやることができるのです。そして、それだけでいいのです。

この事にさえ気が付けば、親も子育ての呪縛から解き放たれるし、子もまた自らの力で育ち、親の元を巣立っていくことができることでしょう。僕は本書を読んでそう思いました。

子育てに悩んでいる方は是非本書を読んでみられることをお勧めしたい。

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