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「犯罪心理学者が教える 子どもを呪う言葉・救う言葉」を読んだ。親の何気ない一言が、子どもの自己肯定感を下げる!

犯罪心理学者が教えてくれた子どもを傷つける言葉

若者が犯罪を犯す、世間を震撼させるような大きな事件を起こす。しかも周囲からは真面目な若者だと言われていたと報道があるケースもあります。

親からしてみたら

「うちの子に限って」というのが本音でしょう。

ですが、訳あって犯罪を犯してしまった若者達も、最初から境遇がよくなかったという子もいるでしょうけど、大半は本当に純粋な、笑顔に満ち溢れた人生をスタートしていると思うのです。それが何かボタンの掛け違いがあって、犯罪に手を染めてしまった。。。

そう考えると、大人が、社会が、子ども達を苦しめている事が多いんだろうな。そう思って胸が痛くなります。

ずっと読みたかった本があります。「犯罪心理学者が教える 子どもを呪う言葉・救う言葉」という本です。

1万人の犯罪者・非行少年を心理分析してこられた著者が、実際の事例をもとに、親がよかれと思って掛けたはずの、子どもを傷つける言葉や行動について子育ての観点から書かかれている本です。

知らず知らず、子どもを傷つける言葉を言ってないか?そう思ったら読んで欲しい本です。

この本を読むといいと思う人
  • 子どもの反抗期で悩んでいる人
  • 子どもの非行や問題行動に悩んでいる人
  • 子どもが何を考えているかわからない人
  • 子どもの突然の変化に悩んでいる人
この記事を書いている人

くろちゃんパパ

  • 思春期の娘二人(小学生、中学生)のパパ。
  • 子育て本、教育本を100冊以上読む。
  • 娘が生まれた時からずっと子育てに関わり、娘たちと今も良好な関係を築く。
  • 長女の中学受験の勉強に毎日付き合い、中高一貫校の合格を親子で勝ち取る。
  • 勉強だけで優劣が決まる今の教育に疑問をもち、未来型の教育に関心を持ち勉強中。
目次

本書の紹介と著者プロフィール

著:出口 保行
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出口 保行氏

犯罪心理学者。1985年に東京学芸大学院教育学研究科発達心理学講座を修了し同年国家公務員上級心理職として法務省に入省。以後全国の少年鑑別所、刑務所、拘置所で犯罪者を心理学的に分析する資質鑑別に従事。心理分析した犯罪者は1万人を超える。2007年法務省法務総合研究所研究部室長研究官を最後に退官し、東京未来大学こども心理学部教授に着任。2013年からは同学部長を務める。フジテレビ「全力!脱力タイムズ」にレギュラー出演の他、各局報道・情報番組において犯罪解説等も行っている(著書発行時)

犯罪心理学の先生が指摘する。親が子どもを傷つけているケース(書評)

犯罪や非行の問題行動の背景に、家庭環境が大きく関わっているのは事実だそうです。

くろちゃんパパ

僕には関係のない話

そう思って読み進めた本書ですが、

「私の子に限って・・・」

というむしろ、今まで子どもに愛情を注いできたと信じてきた親御さんが、子どもが犯罪者となり絶句するというケースが多い事を知り身が引き締りました。

子どもの為を思って、声をかけ続けたその言葉が、実は子どもを傷つけ、最悪のケースでは犯罪にも繋がってしまう。

本書では、1万人を超える犯罪者の心理分析をされてきた著者が、実際の犯罪者の事例を紹介しながら、親が良かれと思って子どもに投げかけている言葉が実は呪いの言葉だという事を教えてくれる、そして、そうならないように子どもを救う言葉についても言及された思春期の子どもを持つ親御さん必読の本です。

犯罪心理学とは?

さて、犯罪心理学とは何でしょう?

犯罪心理学とは、「なぜその犯罪が起きたのかを分析する学問」

引用元:犯罪心理学者が教える 子どもを呪う言葉・救う言葉

なのだそうです。こういった学問があるということを僕は本書で初めて知りました。例えば関西大学の心理学部 心理学科に、犯罪心理学専攻というのがありました。

ホームページを見てみると、この学問を学んだ学生は、

犯罪心理学を学んだ学生が目指す進路
  • 警察官
  • 法務教官
  • 家庭裁判所調査官
  • 少年鑑別所心理技官

などの職業を目指す事ができるそうです。

裁判などで重要なのは「客観的事実」であるが、心理分析で大事なのは「主観的事実」だという著者。

はたから見ると大したことないと思う事でも、当人にとっては大きなショックであることがある。事実よりもその人がどう感じたのか?を読み解くのが心理学なんだという点は、

何気なくかけたはずの言葉が、子どもにとっては傷つく言葉だったということがきっとあった僕にとって、とても刺さりました。

少年院の先生が感じる保護者の問題点

本書を読んでまず目を引いたのは、少年院の先生(法務教官)が感じる親の問題点。子どもの問題点ではなくて、親の問題点です。

それによると、1位は「子どもの行動に対する責任感がない」2位が「子どもの言いなりになっている」3位が「子どもの行動に無関心」とある意味納得の結果が上位に並んでいます。

一方で、親が干渉しすぎや、一方的に子どもを指導し、がんじがらめにしているといった点も傾向として多いのだと統計を見るとよくわかりました。

少年を更生させるために、とことん少年の話を聞き、そして受け入れる。どんな人でも更生できるんだと力強くいう筆者が、

正直に言うと厄介なのは保護者のほうです。

引用元:犯罪心理学者が教える 子どもを呪う言葉・救う言葉

というのはすごく重く響きました。子ども自身は更生できる、ただ親が変わらなければ結果的に子どもの更生も難しくなるというのです。

この章では「確証バイアス」という言葉が出てきます。確証バイアスとは、自分の都合のよい情報だけを正しいと取捨選択することをいいますが、子育ては特に確証バイアスになりやすいと著者は指摘します。

確証バイアスは、僕のように子育てに熱心な親であればあるほどかかりやすいように思います。例えば、一流大学に入れて、一流の企業に就職させるのが子どもの幸せという固定概念も、子どもにとってはいい迷惑な場合もあります。

だから僕は出来る限り本を読んで、客観的な子育て論を勉強するようにしています。

いつの間にか、子どものためにが、自分のプライドや見栄にすり替わっていることがある。子ども目線で考えることができているか、客観的に振り返るために本は役立ちます。

確証バイアスにならないために、自分の子育てを客観視するために本を読もう

犯罪心理学の先生が考える子どもを傷つける言葉とは?

ここからは実際に著者が実体験とともに紹介している子どもを傷つける言葉について紹介してみたいと思います。(本書では「子どもを呪う言葉」と表現されています)それから僕の気付きについても言及したいなと思います。

みんなと仲良くは自己決定力を削ぐ

「みんなと仲良くしなさい」は、協調性を重んじる日本社会において重要な言葉だったかもしれません。ですが、そう言われて常に回りの目を気にして生きている子は、自己決定力が低いと著者は指摘します。

自己決定力が低いために、みんなに合わせるのは上手いが、自己主張ができない。悪いグループに誘われても断ることができない。それが犯罪に繋がった一例を本書では紹介されています。

我が家でいえば気を付けているのは次女です。長女は自己主張がむしろ強い子で、特に反抗的な態度も見せます。一方で、次女はお姉ちゃんや、僕たち両親に常に気配りができる子であります。ですが、自分の自己主張をやりにくい立場でもあり、きっと我慢している事も多いのだろうと理解しています。

ですから、必ず「自分がしたいと思う事は遠慮なく言いなさい」と伝えていますし、意識的に意見を求めるのも次女にするように気を付けています。

自己決定ができず躓いた子は、「親のせいで自分の人生がダメになった」と他人のせいにする傾向があります。そうではなくて、自分の道は自分で決める。失敗しても自分が納得して失敗ができれば、子どもは自然と成長してくれると思うのです。

親が決めるのではなくて、子どもが決める。自己決定感を育てよう

早くしなさい!が先を読む能力を削ぐ

「早くしなさい!」は世のママがよく子どもに言う言葉だと思いますが、この言葉が先を読む能力を削ぐのだと著者は指摘します。

テレビで、犯罪のニュースを見ていると、こんな犯罪を犯してもすぐに捕まるのに。。。と思うようなことがあります。これこそが、犯罪を犯す子に先を読む能力が欠けているからだというのは本書を読んで勉強になりました。

先を読む能力って考えてみれば、ものすごく大事な能力です。例えば今勉強していることが、将来何に役立つのかを逆算できる子ってすごく伸びると思うのです。

うちの長女は夢がありますから、その夢を叶えるためには、今何をしなければいけないのか逆算して考えるように話をしています。目標がある子は、この逆算の練習が早くからできます。

大学に入りたいと思うなら、大学に入るためにはどんな勉強をしなければいけないのか自分で考える。自分で計画を立てる能力ってものすごく重要な能力なんだなと改めて本章を読んで思いました。

社会に出ると、セルフスタートができる人が求められます。受け身ではなくて、言われなくても自分で行動を起こせる人の事をセルフスタートできる人といいます。犯罪者にならないためにというよりも、社会に出て必要な力なんだと思いましたね。

先を読む能力は、容易な犯罪に走らない効果があるだけでなく、社会に必要な能力

頑張りなさいで、意欲を持たせることはできない

子どもに「頑張れ」という言葉をかけた経験は誰にでもあると思います。ですが、まさかこの頑張れが、子どもを呪う言葉になろうとは夢にも思いませんでした。

僕も「頑張れ」ってついつい使うのですが、実はこの「頑張れ」、疲れている時に意味もなく使っている事が多く反省しました。頑張れっていう言葉一つで済むわけですから、簡単なんですね。

けれど子どもの立場からしたら、「もう頑張ってるし」とか、「何を頑張れ」というのか全く具体性がなく、やっぱり気持ちいい言葉ではないだろうなって思います。

頑張れというのならば、何をどう頑張るのか示してあげる事が重要だと著者はいいます。

本書で紹介されていたのが、心理学者のアプラハム・マズローの理論。

人間の欲求は5段階に分かれているといい、ミラミッドの下から

  • 生理的欲求(ご飯食べたい、寝たい)
  • 安全欲求(安心できる環境で暮らしたい)
  • 社会的欲求(友人や家庭、会社から受け入れられたい)
  • 承認欲求(他者から尊敬されたい、認められたい) ←まだ満たされていない
  • 自己実現欲求(自分にしかできないことを達成したい)

なんだといいます。

「夢を見つけて目標に向かって頑張って欲しい」という親がいるが、本人はまだ承認欲求も満たされていないのに、自己実現どころではないというのは納得解でした。

まずは、子どもを認めるところからはじめる。目標を促すのはそれから

何度言ったらわかるの!は自己肯定感を壊す

何度言ったら分かるの!。子どもの為を思い叱ることが、子どもの自己肯定感を否定することになるかもしれません。著しく自己肯定感が低い子は、それが悪い道であろうが、自分を認めてもらえるところになびく。本書ではそういった事例が紹介されています。

日本人の自己肯定感は他国と比べて著しく低いことがわかっています。そのため多くの子育て本でも、自己肯定感の大切さを説かれている方が多い。

ですが、先般、岡嶋かな多氏が著書「夢の叶え方はひとつじゃない」でもおっしゃっていたとおり、自己肯定感をあげるのってそう簡単じゃないというように、本で書いてあるほど簡単に自己肯定感を高められないと僕は思っています。

だからこそ、だからこそですが、自己肯定感をじょじょにあげられるように子どもを認めてあげる事を親はむしろ努力したほうがいいとも思っています。

自己肯定感は簡単には上げる事はできないと思うが、それでもあげる努力を親は続けるべき

勉強しなさい!が親子の信頼関係を壊す

勉強しなさい!この言葉をいったことがある親はとても多いのではないでしょうか?しかし、この言葉が一番子どもの反感を買う事もよく分かっているのではないでしょうか?

勉強ができる子が、大きくなって勉強に躓き、最悪のケースでは犯罪を犯してしまうという事件が多発しています。

中学受験ドラマ「二月の勝者」第5話でも父親が子どもに過度に勉強を押し付けるシーンがありますが、自分はそうならないと意識していても、ついつい行き過ぎてしまう。勉強というのは行き過ぎると魔物がついてくるものだと思います。

僕もエスカレートしないようにものすごく意識していたけれど、それでも子どもを叱責したことがあります。勉強しなさい!という言葉は意識しすぎてもしすぎってことはないくらい、気を付けた方がいいと言葉だと思います。

勉強しなさい!の言葉には、子どもが勉強をする効果はない。出来る限り我慢して、ぐっと飲みこもう

気を付けてが共感性を壊す

本書で出てくる気を付けて!というのは、危ないと思った事を親や祖父母が止めてきたという例で登場します。あきらかに過干渉・過保護であるこうした親を、専門用語でヘリコプターペアレントというのだそうです。

こうして危険から親が守りすぎることで、体験して得られる共感性が育たず、人の気持ちを踏みにじるような犯罪に手を染める。

子どもを危険から守りすぎたという反省は僕にもあります。それで共感性が育たないというのは、意外で盲点でしたが、勉強になりました。

物騒な世の中ですから子どもを危険から遠ざけたいと思いますが、命に関わらない事は失敗、経験を積ませる事って大事なんだと改めて思いました。

まとめ 夫婦で子育ての方針について話ができるようにしよう

犯罪を犯した子ども達を更生する為の犯罪心理学の分析、そしてそれに基づいた更生プログラムについては、詳しくは本書を読んでいただきたいのですが、本当に勉強になりました。

心理学に基づいた様々なアプローチは関心するものばかりでしたが、随所に、その子をまず認めてあげるんだと書かれていたのがすごく印象に残りました。

犯罪を犯す子も、生まれた時は純粋に笑顔溢れる赤ちゃんであったと冒頭でも書きました。それが成長するにつれて笑顔が雲っていったのか?やはりそれは親が子を認めてあげることができていないことが全てではないか?本書を読んでそう思いました。

また、犯罪を犯した子の保護者が夫婦で子育ての話し合いをできてなかった点を反省点として挙げられている事も印象に残りました。

夫婦で意見が違う事はあるでしょう。けれど、問題なのは意見が違うことではなくて、話し合いをしていないことだと著者は指摘されています。耳が痛かったですね。

僕はこうして子育ての本を読んで、子どもと全力で向き合い、ぶつかっていますが、夫婦で子育てについてそこまで真剣に話し合いができているかというとまだまだ不十分だなと再認識しました。新たな気付きを本書でもらったな~と思います。

子育てについての方向性を、夫婦で話し合うことが最も大事だということを学ぼう

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